プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(読み)ぷろてすたんてぃずむのりんりとしほんしゅぎのせいしん(英語表記)Die protestantische Ethik und der 》Geist《 des Kapitalismus

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
ぷろてすたんてぃずむのりんりとしほんしゅぎのせいしん
Die protestantische Ethik und der 》Geist《 des Kapitalismus

マックスウェーバーが1904年から05年にかけて『社会科学と社会政策のアルヒーフ』誌に発表した論文。この論文において、彼は、カルビニズムピューリタニズムなどの禁欲的プロテスタンティズム倫理が、西欧特有の現象としての近代資本主義精神支柱となったと論じた。彼がとくに強調するのは、二重予定説という「恐るべき教説」の心理的影響である。これがために、信徒は、「救いの確かさ」の確証を、神から課せられた「使命」(ベルーフ)としての世俗内職業労働への専心のうちに自ら求め、非合理的衝動欲求を厳しく自己統制し、生活を徹底して合理化するに至った(現世内禁欲)。これが経営および労働の組織的合理化をもたらしたというのである。

[高野清弘]

『梶山力・大塚久雄訳『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』全二冊(岩波文庫)』『トーニー著、出口勇蔵・越智武臣訳『宗教と資本主義の興隆』(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例