ヘット

デジタル大辞泉 「ヘット」の意味・読み・例文・類語

ヘット(〈オランダ〉vet)

牛の脂肪からとった料理用のあぶら。ラードよりも高温で溶ける。牛脂

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精選版 日本国語大辞典 「ヘット」の意味・読み・例文・類語

ヘット

  1. 〘 名詞 〙 ( [オランダ語] vet )[ 異表記 ] ヘッド
  2. 人間や獣類の脂肪。〔解体新書(1774)〕
  3. 牛の脂肪からとる食用あぶら。
    1. [初出の実例]「牛の要用なる説〈略〉乳餠其他肉脂膏(ヘッド)等」(出典:明治月刊(1868)〈大阪府編〉三)

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改訂新版 世界大百科事典 「ヘット」の意味・わかりやすい解説

ヘット

ドイツ語のFettまたは英語のfatからなまった言葉と思われる。日本では牛脂のことをいうことが多い。しかし牛脂は英語ではbeef tallowといい,いつごろから日本でヘットが牛脂を意味するようになったかはっきりしない。原義のFett,fatは動物性の組織から採取した固形の脂肪を意味する。これらの動物性の脂肪はレンダリングrendering法で製造される。レンダリング法はウェットレンダリング法とドライレンダリング法に大別される。前者原料の脂肉に水を加えて加熱するか,蒸気を吹き込んで加熱し,融出した脂肪をろ過するものだが,この方法は熱効率が悪い。後者は二重がまを用いて間接的に蒸気で加熱するもので,内部に回転する刃があって組織を細切する。最近はドライレンダリング法が多く用いられるようになってきた。日本では従来これらの動物性脂肪はほとんど生産されていなかったが,肉畜の生産の増加とともに,肉畜からでるこれらの脂肪の利用が,公害を防止し副産物の利用を高める意味から,徐々に発展しつつある。レンダリング法で製造された粗製の脂肪は脱ガム,脱酸,脱色,脱臭,水素添加分別結晶エステル交換などの精製工程を経て食用の脂肪または工業用の製品となる。
タロー
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘット」の意味・わかりやすい解説

ヘット
へっと

ウシの脂肪組織から溶出法で得る脂肪。英語ではbeef tallow(牛脂)というが、ヘットはfat(脂肪)のなまった語である。融点35~50℃。ヨウ素価35~60。不けん化物約0.3%。コレステロールを含む。主要成分脂肪酸はオレイン酸で含有量は40~50%。そのほかパルミチン酸25~30%、ステアリン酸15~30%、ミリスチン酸2~8%、リノール酸2~5%を含む。食用脂として用いられるが、その重要性はラード(豚脂)に比し小である。50~60%の飽和脂肪酸を含むから、牛肉の多食は血漿(けっしょう)中コレステロールの増量をきたし、またオレイン酸を多量に含有しているので、牛肉の焼き処理によりオレイン酸からヒドロペルオキシド(過酸化脂質)を生成しうるために、焼き肉の多食はとくに心臓関係のアテローム性動脈硬化症発生につながりやすい。食用に供しない種々の牛脂がせっけん製造などに用いるため生産される。牛脂を圧搾すれば、牛脂ステアリンと牛脂油(オレオオイル)とを得る。牛脂油は特殊潤滑油として使用される。

[福住一雄]

食用

食用のヘットは、腎臓を用いたものがとくに高級品とされる。ヘットは、多くは業務用として揚げ油、マーガリン、ショートニング、カレールウなどの材料に用いられる。ラードより融点が高く、口中で溶けにくい。常温で固形なので熱い料理に用いる。

[河野友美・山口米子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘット」の意味・わかりやすい解説

ヘット
fat

牛の脂肪組織からとった脂肪。 50℃以下で圧搾して得た硬脂を牛脂ステアリン,搾出された部分をオレオ油とかオレオマーガリンという。工業用牛脂は脂肪組織を原料として石鹸,ステアリン酸,オレイン酸,グリセリンの製造など種々の用途に供される。食用牛脂は腎臓や腸を原料とするものが多く,45℃以下で溶出された脂肪をさらに食塩水で洗浄して精製するプルミエル=ジュスというのが最良質のもの。スエットというのは腎臓からとった脂肪のことで,結締組織からとった脂肪と区別するための呼称。

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百科事典マイペディア 「ヘット」の意味・わかりやすい解説

ヘット

獣脂の意味のドイツ語Fettから転訛した語で,一般に牛脂をいう。白色セッケン状で,食用に供されるものは新鮮な牛の脂肪結合組織を55〜60℃で溶出したもの。セッケン,蝋燭(ろうそく)の製造などにも使用される。
→関連項目動物油脂ラード

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栄養・生化学辞典 「ヘット」の解説

ヘット

 →牛脂

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