ヘルプマーク(読み)へるぷまーく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘルプマーク」の意味・わかりやすい解説

ヘルプマーク
へるぷまーく

外見からは障害や疾患を抱えていることがわからない人が、バッグなどにつけて周囲手助け配慮が必要であることを示すマーク。赤地に、白抜き十字と白抜きのハートマークを上下に配したデザインで、駅・病院・自治体窓口などで無料配布し(配布先は自治体により異なる)、義足人工関節などの使用者、内部障害、知的障害難病の人、病気や妊娠初期の人たちなどが利用する。任意で裏面に障害内容、支援してほしい内容、家族や病院の連絡先などを書き込んだシールを貼ることもできる。自治体では、ヘルプマークをつけた人を見かけた際には電車・バス内で席を譲ったり、困っている場合は声をかけたり、また、災害時には、安全に避難するため支援のお願い等をよびかけている。

 人工股関節(こかんせつ)を入れている東京都議会議員の提案で、東京都が2012年(平成24)に作成した。著作権は東京都に帰属し、商標登録されている。東京都の定めた規格は横約5.3センチメートル、縦約8.5センチメートルで、この比率で拡大・縮小はできるが、縦・横の比率を変えて利用することは認めていない。2016年以降、京都府大阪府滋賀県青森県神奈川県奈良県和歌山県徳島県岐阜県、栃木県、広島県、北海道など全国で導入が進んでいる。2017年7月には、日本工業規格(JIS)による案内用図記号に加わった。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、ヘルプマークが国内の統一マークとして普及し、認知度の向上も期待される。

[矢野 武 2017年11月17日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例