日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベルギウス」の意味・わかりやすい解説
ベルギウス
べるぎうす
Friedrich Karl Rudolf Bergius
(1884―1949)
ドイツの化学技術者。化学工場主の息子に生まれ、ライプツィヒで学ぶ。ネルンストやハーバーらの助手をつとめたのち、1909年にハノーバー工業大学講師となる。石炭や石油の生成条件を研究し、1913年に水素添加による石炭液化法の特許を取得した。1914年よりゴルトシュミット社の研究所長として石炭液化法の工業化に努力、第一次世界大戦により石油輸入の途絶したドイツの条件のもとで18の工場を建設した。大戦終結後しばらくは石炭液化法は行われず、1925年に石炭液化法の特許をIG染料(イー・ゲー・ファルベン)会社に譲渡。酸による木材の加水分解を研究、濃塩酸による完全分解法を発展させた。1931年に、高圧化学工業の発展に寄与した功績により、ボッシュとともにノーベル化学賞を受賞。第二次世界大戦後はドイツを去り、スペインに居住、1947年にアルゼンチン政府の科学アドバイザーとなり、ブエノス・アイレスで死去した。
[加藤邦興]