ぼた(読み)ボタ

デジタル大辞泉 「ぼた」の意味・読み・例文・類語

ぼた

炭鉱で選炭したあとの廃石や質の悪い石炭。特に九州地方中心に用いられる語。

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精選版 日本国語大辞典 「ぼた」の意味・読み・例文・類語

ぼた

  1. 〘 名詞 〙 炭鉱で、石炭採掘に際し、いっしょに掘り出された岩石や、選炭後の屑石炭をいう。特に九州地方を中心に用いられ、北海道地方では「(ずり)」という。
    1. [初出の実例]「堆積するボタ(廃礦のこと)が熱気で真赤に燃えはじめた」(出典:火の山(1955)〈井上友一郎〉一)

ぼた

  1. 〘 名詞 〙 植物はぎ(萩)」の異名
    1. [初出の実例]「西瓜を綾に包むあやにく〈其角〉 哀いかに宮城野のぼた吹凋るらん〈芭蕉〉」(出典:俳諧・虚栗(1683)下)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ぼた」の意味・わかりやすい解説

ぼた
refuse; waste

ずりともいう。炭鉱で石炭採掘の際,粗炭 (原炭) のなかに混ってくる捨石をいう。九州地方の呼称で,大部分坑外に,ぼた山として堆積され,筑豊地方の名物になっている。しかし,大雨でくずれて災害を起したり,自然発火する場合があり,有効な利用方法が研究されている。最近,土壌改良セメント原料に利用,またぼたシャモット (並質の耐火煉瓦原料) として活用することが進められている。

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百科事典マイペディア 「ぼた」の意味・わかりやすい解説

ぼた

炭鉱で石炭を掘り出し選炭後に残る岩石や商品にならない粗悪な石炭をいい,これを山積みしたものを〈ぼた山〉という。主に北九州の炭鉱でこう呼ばれた。→ずり

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改訂新版 世界大百科事典 「ぼた」の意味・わかりやすい解説

ぼた

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世界大百科事典(旧版)内のぼたの言及

【ずり】より

… ずりは鉱石あるいは石炭としては価値のないものであるが,一部は坑内充てん材,ダムの築堤材,道床材,コンクリート骨材などとして利用されている。なお炭鉱(とくに九州地区)では,ずりはぼたと呼ばれている。【井上 外志雄】。…

【選炭】より

…この処理プロセスが広義の選炭coal preparationである。広義の選炭は,破砕,ふるい分け,分級などによる粒度調整,石炭とぼた(岩石成分rock)の選別,製品の脱水,混炭などのほか,場合によってはブリケット化などの加工処理を含む多数の操作から成り立っている。広義の選炭の中で,その中心ともいえるのは石炭とぼたの選別過程である。…

【炭鉱】より

…(4)保安 ガス,排水,温度等に対する対策,災害防止,予防対策等の作業をいう。(5)選炭 坑内から搬出されたばかりの石炭には岩石(〈ぼた〉または〈ずり〉という)が混入しているので,これらを選別して精炭にしなければならない。(6)労務・福利厚生 炭鉱では多数の労務者が従事しているので,労務管理も大きな問題である。…

※「ぼた」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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