琉球(りゅうきゅう)諸島で、娼妓(しょうぎ)、遊女のこと。「尾類」と書くのは当て字。那覇方言ではジュリと発音する。首里王府の公用文には「傾城(けいせい)」とみえる。那覇の辻(つじ)、中島(なかしま)、渡地(わたんじ)の三地に遊廓(ゆうかく)があったが、1908年(明治41)に辻の一か所に統合された。那覇の町の妓楼の発生はかなり古く、1700年前後にはこれら三地に遊廓が形成されていたらしい。楼主もずり上がりの女で、辻の遊廓は二つの字(あざ)に分かれ、字ごとに、楼主の互選で選ばれた盛前(もりまえ)(ムイメー)と称する村役が置かれ、女手による行政、祭祀(さいし)にわたる自治組織があった。妓楼は、本来、置屋、待合、料亭が未分化の形態で、楼主のもと、ずりが部屋を借りて住み、そこに客を迎え、ずりの手料理でもてなすことになっていた。独立した家庭の雰囲気を備え、「もう一つの女の家」の性質を帯びている。格式を重んじる気風がきわめて強く、客選びも厳しく、しかも、なじみ客には誠実に人情を尽くすのが、ずりの仁義とされた。特定の客をもつことも多く、その場合は、客の家との交際は公然と行われ、ずりの産んだ子が嫡子として育てられることも珍しくなかった。
1663年(寛文3)に来島した中国の張学礼の『中山紀略』に、嫁(とつ)がない女子が親から離れて住まいをもち、よそからの客と接し、親兄弟は客と親戚(しんせき)づきあいをするとあるのは、ずりの特性をよく伝えている。1667年の首里王府の通達には、傾城を自宅に引き入れることは禁止されているが、首里も田舎(いなか)もそれが徹底していないとある。遊廓に定住するずりだけが公認されていたらしい。もとは旅渡らいのずりもいたのであろう。奄美(あまみ)大島では、村を回る娼妓をマリ(回り)ゾレ、村に住み着いた娼妓をウィリ(居り)ゾレと呼び分けた。
[小島瓔]
(1)鉱山や炭鉱において採掘されるが価値のない岩石。たとえば探鉱作業,開坑作業,切羽準備作業などにおいては,鉱体以外の岩石を採掘する必要があり,その結果ずりを発生する。また,鉱体内部から採掘された岩石で,低品位のため鉱石として処理できないものも,ずりとして処分される。
(2)選鉱・選炭工程における選別の結果生成される廃石に対する俗称。とくに比較的粗粒の段階で分離・排出される廃石を指す場合が多い。
ずりは鉱石あるいは石炭としては価値のないものであるが,一部は坑内充てん材,ダムの築堤材,道床材,コンクリート骨材などとして利用されている。なお炭鉱(とくに九州地区)では,ずりはぼたと呼ばれている。
執筆者:井上 外志雄
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…(4)保安 ガス,排水,温度等に対する対策,災害防止,予防対策等の作業をいう。(5)選炭 坑内から搬出されたばかりの石炭には岩石(〈ぼた〉または〈ずり〉という)が混入しているので,これらを選別して精炭にしなければならない。(6)労務・福利厚生 炭鉱では多数の労務者が従事しているので,労務管理も大きな問題である。…
… これらいずれの場合でも,地山が堅硬なときは発破を用いて掘削する。すなわち,(1)削岩機による穿孔,(2)爆破(装薬および点火),(3)ずり積み,ずり出し,(4)支保工建込みの順で行われ,以下再び,(1)~(4)の作業を繰り返しながら掘進することとなる。削岩機は圧縮空気を動力とするもののほか,近年は油圧を動力とする高性能なものがよく用いられる。…
※「ずり」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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