鉱山や炭鉱などにおいて,坑道掘進などの作業のために掘削されたが,鉱石や石炭としての価値がないため,廃棄される岩石。または選鉱や選炭などの作業に選別され,廃棄される岩石をいう。鉱山で発生する廃石の一部は鉄道の路盤材,道路舗装材,坑内充てん材などとして利用されているが,余剰分は扞止堤などに堆積される。炭鉱で発生する廃石は坑内充てん材として利用されるものを除き,他は廃棄処分される。その結果として形成された廃石の山がいわゆるボタ山である。鉱山で発生する廃石のうち,とくに粗めのものはずりとも呼ばれる。また選鉱過程から発生する廃石は尾鉱(びこう)(テーリングtailingともいう)と呼ばれることもある。一方,炭鉱で発生する廃石は主として九州地区では〈ぼた〉,北海道地区では〈ずり〉と呼ばれる場合がある。廃石は処分方法のいかんによっては,環境汚染や風致破壊の原因ともなるので,その有効利用法の開発に対し,種々の研究が進められている。
執筆者:井上 外志雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
鉱山、炭鉱、採石場等で採掘あるいは選別の過程で廃棄される不用の岩石類をいう。処理過程によって塊状、粒状、泥状のものがあり、泥状のものを廃滓(はいさい)ともよぶ。土建材料、坑内採掘跡の充填(じゅうてん)材その他に一部利用されているが、それ以外は粗粒のものは廃石捨場に、泥状のものは廃滓ダムに堆積(たいせき)される。非鉄金属鉱山では採掘された原鉱の90%以上が廃石であって、その捨て場所が最近得がたくなっており、その処理および有効利用が検討されている。わが国の鉱山から出る廃石量は、1976年度(昭和51)で年間約800万トン、そのうち利用されているのは約20%である。
金属鉱山および北海道の炭鉱では、廃石のことを俗に「ずり(硑)」と称し、また九州の炭鉱では「ぼた(硬)」とよぶ。ピラミッド状に堆積した「ぼた山」は筑豊(ちくほう)炭鉱地帯の象徴であった。
[麻生欣次郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…選鉱工場では,鉱石を単体分離して浮選(浮遊選鉱)などの選別操作を行うために,鉱石は74μm以下のものが70~95%程度になるまで細かく粉砕され,有用鉱物が分離回収されたのちに,大量の廃滓が生成される。この廃滓は廃石または尾鉱tailingと呼ばれる。廃石のうち,粗粒部は坑内充てん(塡)材などとして利用される場合が多く,残りは扞止堤に堆積される。…
※「廃石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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