日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボレオ石」の意味・わかりやすい解説
ボレオ石
ぼれおせき
boléite
カリウム(K)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉛(Pb)を主成分とする複雑な塩基性ハロゲン化鉱物。ボレオ石‐キュマンジュ石cumengeite(化学式Pb21Cu20(OH)40Cl42)系を構成する。標本的には美しい青色の立方体結晶で有名である。また共存鉱物の内容が複雑なことでも知られる。自形は立方体を基調とし、稜(りょう)や頂点に小さな別の面が発達する。
これら主成分の硫化鉱物を含む熱水鉱脈鉱床の酸化帯にみられるが、日本では和歌山県串本(くしもと)町で海岸や海中にある銅・亜鉛・鉛鉱脈の一部から発見されている。原産地メキシコ、サンタ・ロサリアのボレオBoleoでは、擬ボレオ石pseudoboleite(Pb31Cu24(OH)48Cl62)、キュマンジュ石、アタカマ鉱、硫酸鉛鉱、白鉛鉱、角鉛鉱phosgenite(Pb2[Cl2|CO3])、石膏(せっこう)などと共存する。同定は形態、色、二次鉱物としては大きい比重による。外観の色を反映するかなりはっきり着色した条痕(じょうこん)があり、完全な劈開(へきかい)をもつ。命名は原産地にちなむ。
[加藤 昭 2018年10月19日]