ドイツ、オーストリア、スイスの3国にまたがる湖。別名コンスタンスConstance湖。標高400メートルにあり、面積539平方キロメートル、最大水深252メートル。更新世(洪積世)の氷期の氷河の末端部が舌状に伸びる氷舌盆地に水がたたえられてできたものである。アルプス山中に発するライン川が湖の南東部に流入し、西部から流出する。湖の水量は490億立方メートルで、ライン川の年間流入量120億立方メートルの4倍もあり、ライン川の流量の調整に重要な役割を果たしている。湖への流入水量の最大と最小の比が80対1であるのに対し、湖からの流出水量の最大と最小の比が10対1にすぎないことが、調整池として大きな意義をもつことを示している。北岸の南向き斜面では良好な気候を利用してブドウ栽培が行われる。アルプス連山を一望でき、湖岸には観光・保養地が多い。湖上を3か国のフェリーボートや遊覧船が行き来し、水上スポーツも盛んである。
[前島郁雄]
『小塩節著『ラインとともに』(1998・郁文堂)』▽『相原恭子文・写真『ドイツファンタスティック街道夢紀行』(1998・東京書籍)』▽『ヘルマン・ヘッセ著、フォルカー・ミヒュルス編、岡田朝雄訳『庭仕事の愉しみ』(1998・草思社)』▽『長真弓著『スイスの鉄道――アルプスから碧水の湖畔、石畳の街までを網羅』(2003・JTB)』▽『「地球の歩き方」編集室編『地球の歩き方A18 スイス(2003~2004年版)』(2003・ダイヤモンド・ビッグ社)』
ドイツ南西部,オーストリアとスイスの国境に位置する第四紀洪積世の氷河湖。コンスタンツ湖とも呼ばれる。面積539km2,湖面の標高395m,最大水深252m。南東-北西方向に延び,南東部の主湖盆はオーバーゼーと呼ばれる。北西部は二つの狭湾に分かれ,北側はユーバーリンガーゼーÜberlingersee,南側はウンターゼーUnterseeと呼ばれている。アルプス地方を流れたライン川は南東部から流入し,西端部のウンターゼーから流出する。ライン川は多くの砂礫を湖に運び込むが,ここが天然の浄水場の役割を果たし,流出する水はすっかり清く澄んでいる。湖一帯は周囲の山々により厳しい風から保護されているため気候が温和で,またとくに北岸斜面は日当りが良く,ブドウ栽培が盛んに行われている。アルプスを一望できる風景美に恵まれ,マイナウMainau島,リンダウLindau島などがあり,一大観光地となっている。湖中の島にあったライヘナウ修道院をはじめ,中世は経済,文化の中心地であった。湖畔の主要都市にはドイツのリンダウ,フリードリヒスハーフェン,コンスタンツ,オーストリアのブレゲンツなどがある。
執筆者:武田 むつみ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…またアルプス内の流域面積6123km2のうち194km2は氷河が占める。流域には便宜的な区別がなされており,最上流部の主要な2流域を前ライン(フォルダーライン),後ライン(ヒンターライン),両者の合流点からボーデン湖まで(165km)をアルプスライン,ボーデン湖からバーゼルまで(140km)を高ライン(ホッホライン),バーゼルからビンゲンまで(330km)を上ライン(オーバーライン),ビンゲンからボンまで(100km)を中ライン(ミッテルライン),ボンから河口まで(370km)を下ライン(ニーダーライン)と呼んでいる。 前ラインはオーバー・アルプ峠付近の氷河圏谷の湖,トーマ湖(標高2344m)から流れ出す。…
※「ボーデン湖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新