日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボーブナルグ」の意味・わかりやすい解説
ボーブナルグ
ぼーぶなるぐ
Luc de Clapiers, marquis de Vauvenargues
(1715―1747)
フランスのモラリスト。エクサン・プロバンスに生まれ、最初軍人として栄達を夢みるが傷痍(しょうい)のため断念した。以後、病弱の彼は文学に活路をみいだし、1746年『人間精神認識序説』Introduction à la connaissance de l'esprit humainに『箴言(しんげん)と省察』を付し刊行するが、1年後に夭折(ようせつ)した。たび重なる不運にもかかわらず、箴言に表明された哲学は楽天的で、感情重視の主張はロマン主義の先駆をなす。
[市川慎一 2015年6月17日]
『内藤濯訳『省察と箴言』(1948・創元社)』▽『ヴォーヴナルグ著、関根秀雄訳『不遇なる一天才人の手記』(岩波文庫)』