ボーブナルグ(読み)ぼーぶなるぐ(英語表記)Luc de Clapiers, marquis de Vauvenargues

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボーブナルグ」の意味・わかりやすい解説

ボーブナルグ
ぼーぶなるぐ
Luc de Clapiers, marquis de Vauvenargues
(1715―1747)

フランスのモラリスト。エクサン・プロバンスに生まれ、最初軍人として栄達を夢みるが傷痍(しょうい)のため断念した。以後、病弱の彼は文学に活路をみいだし、1746年『人間精神認識序説Introduction à la connaissance de l'esprit humainに『箴言(しんげん)と省察』を付し刊行するが、1年後に夭折(ようせつ)した。たび重なる不運にもかかわらず、箴言に表明された哲学は楽天的で、感情重視の主張ロマン主義先駆をなす。

[市川慎一 2015年6月17日]

『内藤濯訳『省察と箴言』(1948・創元社)』『ヴォーヴナルグ著、関根秀雄訳『不遇なる一天才人の手記』(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボーブナルグ」の意味・わかりやすい解説

ボーブナルグ
Vauvenargues, Luc de Clapiers, marquis de

[生]1715.8.6. エクサンプロバンス
[没]1747.5.28. パリ
フランスのモラリスト。軍人を経て外交官を志したが天然痘にかかり失明状態となったため,ボルテールのすすめもあって死の2年前から文筆活動に入った。 1746年に『人間精神認識への序説』 Introduction à la connaissance de l'esprit humainや『省察と箴言 (しんげん) 』 Réflexions et Maximesなどを収めた著作集を刊行。思想上はパスカルの現世否定や 17世紀のキリスト教徒一般のペシミスティックな人間観に反対し,ボルテール的な理神論の立場を取った。

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