楽天主義(読み)らくてんしゅぎ(英語表記)optimism

翻訳|optimism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

一般に苦悪などの反価値の存在にもかかわらず,全体としてこの世は存在しうる世界のなかで最良のものであるとする考え方をさし,ペシミズム (→厭世観 ) と対立している。この定義は哲学的楽天主義 (最善観) の創始者ともみられるライプニッツの『弁神論』中のもので,この考え方をさすため,フランスのトレブーのイエズス会士らによって,optimumから optimismという語がつくられた。心理学的には人生の目的,その実現のための困難の克服を快となす改良主義的快楽主義の形をとり,マルブランシュ,シラーらがいる。哲学的には存在の完成度という視点からみるとプラトン,アリストテレス,ストア主義,新プラトン主義,スコラ哲学は,すべて楽天主義 (最善観) である。近世ではブルーノ,スピノザ,イギリスのシャフツベリー,ポープ,啓蒙主義を通じヘーゲルにその頂点を見出すドイツ文化楽天主義がある。また自然科学化したものにスペンサー,ダーウィンの進化論,技術主義があり,経済社会思想としては自由主義,マルクス主義がある。現代の実存主義は快苦,善悪の相対的判断の不合理性をつき,その超越を説くので,ある意味では楽天主義的といえる。宗教ではすべての宗教が究極的には苦,罪からの救済を目的としているため,楽天主義に立つといえる。しかし個人の精神的努力を認める改良主義の形をとるのか,そうでないのかで著しくその色彩が違い,キリスト教は前者,仏教やイスラムは後者に分類されることが多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典内の楽天主義の言及

【オプティミズム】より

…楽天主義,楽観主義と訳される。ラテン語のオプティムスoptimus(最善の意)に由来し,世界や人生の価値や意義を究極的には肯定的に認める立場をいい,日常の用語としては,ものごとや事態のなりゆきをすべて良い方向に考える心理的傾向をいう。…

※「楽天主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

出し子

1 だし汁を取るための干した雑魚(ざこ)。煮干し。2 振り込め詐欺などの犯罪に利用された預金口座から現金を引き出す役をいう隠語。→掛け子 →受け子...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android