マイコドリ(読み)まいこどり(英語表記)manakin

翻訳|manakin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マイコドリ」の意味・わかりやすい解説

マイコドリ
Pipridae; manakins

スズメ目マイコドリ科の鳥の総称。約 50種からなり,中央アメリカ南アメリカ亜熱帯から熱帯森林に生息する。全長が 7~15cmの小さな鳥であるが,オナガセアオマイコドリ Chiroxiphia linearis のように尾羽の中央 2枚がひも状に長い種も数種ある。大部分の種は,雄が赤,黄,緑,青,黒,白色などの羽毛で鮮やかに彩られている。雌は全体にオリーブ色の地味な羽色である。多くの種は森林性で,熱帯雨林のほか乾燥した林,河畔林などにもすむ。は短く,上嘴の先端がかぎ状になり,基部がヒタキのように扁平で幅の広い形をしている。昆虫類も食べるが,おもに漿果(→液果)などの果実を食べ,樹冠の下の下層空間で飛びながらもぎ取る。雄の羽色が美しい種の多くでは,樹上や林の中の開けた地面に 1羽ずつ踊り場をもち,羽音なども出してディスプレイを競い合い,できるだけ多くの雌と交尾をしようとする(→レック)。こうした種の雌は単独で子育てをする。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイコドリ」の意味・わかりやすい解説

マイコドリ
まいこどり / 舞子鳥
manakin

鳥綱スズメ目マイコドリ科に属する鳥の総称。この科Pipridaeの仲間には52種がある。全長9~16センチメートル、嘴(くちばし)と足は小さく、翼や尾も短い。ただし、尾の一部が長く伸びたり、先が細く変形したものが少数いる。羽色は雌雄で著しく異なり、雌は全体に緑色系の羽色であるのに対して、雄は赤、黄、青、白、黒などからなる美しい大柄模様の羽色をしている。メキシコ南部から南アメリカ中部にかけての熱帯降雨林にすみ、枝からぱっと飛び立って木の実や昆虫をとって食べる。雄には、2羽から数羽が一定の場所に集まって奇妙なダンスをする習性がある。踊り場として利用される場所は種によって異なり、樹上高いところにある水平の枝を使う種もいれば、地表付近の若木を使う種もいる。後者の場合には、若木付近の地表にある落ち葉はきれいに取り除かれる。雌はこうした踊り場を訪れ、雄と交尾する。この類では、特定の雄と雌からなるつがいは形成されず、交尾後、雌は1羽だけでカップ形の巣をつくり、抱卵し、雛(ひな)を育てる。

[樋口広芳]

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