日本映画。1950年(昭和25)。今井正(いまいただし)監督。東宝争議終了後の製作再開第2作目。フランスの小説家ロマン・ロランの『ピエールとリュース』をもとに水木洋子(みずきようこ)、八住利雄(やすみとしお)(1903―1991)が脚色。戦争末期、空襲下の東京の地下鉄ホームで、大学生の田島三郎(岡田英次(おかだえいじ)、1920―1995)は画学生の小野螢子(久我美子(くがよしこ)、1931―2024)に出会う。2人は偶然再会し逢瀬(おうせ)を重ねるが、やがて三郎に赤紙(召集令状)がくる。螢子は約束した駅で待っているが、そこへ空爆の音がとどろく。螢子が亡くなったことも知らずに三郎は出征する。螢子の描いた三郎の肖像画は戦後まで残った。それは二人の愛と死を象徴してせつない。外にいる三郎が窓の内側の螢子とガラス越しに接吻(せっぷん)する場面は、その哀切さで観客を熱狂させた。戦争の残酷さや軍国主義の愚かさと対比的に、若い男女の純愛を描き出し、多くの支持を集めた。久我美子と岡田英次はこの映画を機に演技に目覚め、スターへの道を歩み始める。今井正の評価は『青い山脈』(1949)に次いで高まった。キネマ旬報ベスト・テン第1位。
[坂尻昌平]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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