改訂新版 世界大百科事典 「ミソハギ」の意味・わかりやすい解説
ミソハギ
Lythrum anceps (Koehne) Makino
野原や山すその湿地に生えるミソハギ科の多年草。全体に毛がなく,茎は直立して高さ50~100cm,上部で多く分枝する。葉は対生し,披針形で長さ2~6cm。花は8月ころ,葉腋(ようえき)に1~3個ずつつき,径1.3cm。萼は筒状で12本の肋があり,先は6裂(まれに5裂)。花弁は紅紫色で6枚が普通であるが,5枚のものもある。盂蘭盆の仏事に用いる風習があり,切花にして仏壇や墓にそなえる。日本全土,朝鮮に分布する。エゾミソハギL.salicaria L.(英名purple loosestrife)はこれに似て,葉の基部が心形にへこみ,裏面に毛状の突起があり,花序にも毛が多い。アジア,ヨーロッパから北アフリカに広く分布する。ともに漢方では全草を千屈菜(せんくつさい)と呼び,下痢止めに用いる。
ミソハギ科Lythraceaeは世界に約22属500種ばかりあり,特に熱帯地方に種類が多い。木本または草本で,花は両性,放射相称で4~6数性となる。子房は上位,2~6室である。
執筆者:村田 源
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報