ミツガシワ(読み)みつがしわ(英語表記)buckbean

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミツガシワ」の意味・わかりやすい解説

ミツガシワ
みつがしわ / 三柏
buckbean
[学] Menyanthes trifoliata L.

ミツガシワ科(APG分類:ミツガシワ科)の多年生水草。1属1種。地下茎は太く、横にはう。葉は3小葉からなり、多肉質で根生し、長い柄がある。4~8月、高さ20~40センチメートルの花茎に白色花を総状につける。花冠は深く5裂し、内面に毛がある。蒴果(さくか)は球形種子は丸く、やや扁平(へんぺい)で光沢があり、水に浮かぶ。種子の化石は、日本では新第三紀鮮新世や第四紀完新世(沖積世)の地層から多く発見されている。山地から亜高山の水中に生え、北海道から九州、および北半球の周北極地方に広く分布する。名は、葉をカシワの葉に見立て、三葉のカシワの意味である。

 中国では葉を乾燥したものを睡菜(すいさい)または瞑菜(めいさい)と称し、睡眠薬とした。苦味配糖体メリアチンを含み、古来から健胃、解熱駆虫などの薬に用いてきた。

[高橋秀男 2021年11月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミツガシワ」の意味・わかりやすい解説

ミツガシワ(三槲)
ミツガシワ
Menyanthes trifoliata; buckbean

ミツガシワ科の水生の多年草。北半球の温帯から寒帯に広く分布し,寒地や高地の沼や水辺に生えるが,ときには暖温帯のところどころに残存植物として隔離分布する。地下茎は太く,横にはい,緑色である。葉は三出複葉で長柄をもち,葉柄基部は鞘状になる。小葉は長さ 4~8cmの卵形楕円形で柄はなく,やや厚質で縁に鈍鋸歯がある。夏に,葉間から花茎を出し,総状花序をなして白色,またはまれに淡紫色の星形の花を多数つける。萼の先端は五深裂し,花冠は径 1cmあまりで 五裂し裂片の内側に白毛を密生する。5本のおしべと 1本のめしべがある。果実は球形の 蒴果で,種子は扁球形で光沢がある。葉は健胃剤,解熱剤として利用される。

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