フランスの小説家、劇作家、ジャーナリスト。トレビエールの生まれ。『フィガロ紙』le Figaroの編集に加わり、劇評家としてもメーテルリンクの象徴主義演劇をみいだすなど功績がある。王党派とカトリック支持から左翼に転向、自然主義的手法で激しいブルジョア蔑視(べっし)や社会悪風刺の作品を残した。小説としては『苦難の丘(カルベール)』(1886)、『ジュール神父』(1888)、『責苦の庭』(1899)、『小間使いの日記』(1900)などがある。劇作では資本家と労働者の対決を描いた『悪(あ)しき指導者』(1897)、とくに、主人公イジドール・ルシャの人物像によって実業家の生彩あるカリカチュアを創造した『事業は事業』Les affaires sont les affaires(1903)は傑作で、今日でも上演される。
[佐藤実枝]
『『小間使いの日記』上下(岡野馨・永井順訳・新潮文庫/山口年臣訳・角川文庫)』
フランスの小説家,劇作家。戦闘的なジャーナリストとして出発した。小説家としては写実主義,自然主義の系統に属し,《小間使の日記》(1900)は,田舎のブルジョア家庭の偽善を小間使の目を通して描くが,《処刑の庭》(1899)は,中国におけるさまざまな残虐な処刑の方法を詳細に描写し,その激烈さは幻想的でさえある。ほかに幻想的な小説として《神経衰弱患者の21日》(1901)があり,戯曲としては《事業は事業》(1903)が代表作である。
執筆者:大浜 甫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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