ミーラーン(その他表記)Mīrān

改訂新版 世界大百科事典 「ミーラーン」の意味・わかりやすい解説

ミーラーン (米蘭
)
Mīrān

中国,新疆ウイグル自治区南東部にあった都城とそれに依存した仏教寺院。アルトゥン・ターグから南流する河水の灌漑に依存し,また東は敦煌,青海に,西はホータンに通ずる要衝にあった。鄯善(ぜんぜん)の首都扜泥(うでい)城に当たり,旧ロブ・ノール北岸の楼蘭(ろうらん)と同時代に繁栄し,4世紀までの遺構・遺物が知られる。一方,5~6世紀の断絶を経て吐蕃が進出,そのタリム盆地経営の基地として重要な役割を果たした。遺跡は1907年,14年の2回にわたるM.A.スタイン調査で明らかになった。ミーラーンは吐蕃期の基地として重要な意味をもつほか,とくにタリム盆地における初期の仏教活動を証拠だてるミーラーンⅡ,Ⅲ,Ⅴなどの寺院跡が注目される。泥煉瓦積みの方形の建築で,天井をドーム架構したこの建造物は,内部を円堂とし,中心に円形基壇をもつストゥーパを置き,周囲を繞道(にようどう)とする。円堂内壁には,仏伝図ないしジャータカ図(ビシュバンタラ・ジャータカが知られる)を太い力強い赤褐色の線で描くテンペラ画があり,腰壁には,男・女童児がかつぐ波状の太い花綱を描き,あるいは有翼青年胸像を描いた。それらの主題は,出土した奉献幡のカローシュティー文字銘(書体は3世紀後半)などとともに,北西インドのガンダーラ仏教とその美術ガンダーラ美術)とにはなはだ近縁である。またミーラーン第Ⅱ寺では塑造の等身大座仏8体が,長方形建築を囲む周壁内側に並座して出土し,4世紀初頭のブラーフミー文字貝葉(ばいよう)も伴出している。
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百科事典マイペディア 「ミーラーン」の意味・わかりやすい解説

ミーラーン

中央アジアロブ・ノール南方にある遺跡。1906年楼蘭(ろうらん)調査の際にスタインによって都城と寺院跡が発見された。カローシュティー文字ブラーフミー文字文書ガンダーラ影響のある塑像壁画が出土,特に壁画はヘレニズムの東限として貴重。

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