ムハーシビー(読み)むはーしびー(英語表記)ārith b. Asad al-Muhāsibī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムハーシビー」の意味・わかりやすい解説

ムハーシビー
むはーしびー
ārith b. Asad al-Muhāsibī
(781―857)

初期のスーフィー(イスラム神秘主義者)。バスラに生まれ、バグダードで活躍しそこで没した。神学を学び、その方法論をスーフィズムに持ち込んだために、保守的なハンバル派から攻撃された。自己の魂を厳しく監視し、不断の「反省」(ムハーサバ)を行ったので、「反省する人」(ムハーシビー)の名がついた。また神のためには、最悪の試練にも喜んで耐えねばならないと唱え、死を真の信仰試金石とみなした。スーフィーの内面生活の手引として書かれた『霊魂修養法』(キターブ・アルリアーヤ)は、のちにガザーリーシャージリー教団に影響を与えた。

[竹下政孝 2018年4月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムハーシビー」の意味・わかりやすい解説

ムハーシビー
al-Muḥāsibī

[生]781頃.バスラ
[没]857. バグダード
イスラム神秘主義者。ムハーシビーはあだ名で,ムハーサバ (監視) という言葉に由来している。自己の魂に対する省察を徹底し,煩悩根源である自我に対して監視を怠らなかったため,このあだ名がつけられた。その神秘思想は,魂の浄化に努め,そのなかに隠れている神的部分を明らかにし,神のうちに生きることを目指すものである。イスラム神秘主義運動におけるバグダード派中心人物である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android