日本大百科全書(ニッポニカ) 「メンゲルベルク」の意味・わかりやすい解説
メンゲルベルク
めんげるべるく
Willem Mengelberg
(1871―1951)
オランダの指揮者。20世紀前半を代表する巨匠の一人。生地ユトレヒトの音楽院、ついでケルン音楽院で学ぶ。1891年ルツェルン管弦楽団の指揮者となったが、95年アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の2代目の常任指揮者に選ばれ、以来半世紀にわたって在任、これを世界有数のオーケストラに育て上げた。国際的な活動も活発で、1920年代にはニューヨーク・フィルハーモニーの常任指揮者も兼任、名をあげた。しかしナチス協力者とされて45年にその職を追われ、スイスに引退して失意のうちに世を去った。ロマン的な表情付けの濃厚な芸風を一貫して保持、テンポ・ルバートを多用して、バッハさえも甘美に表出したが、この持ち味はチャイコフスキー、マーラー、R・シュトラウスで最高度に生かされた。
[岩井宏之]