モルワイデ図法(読み)もるわいでずほう(英語表記)Mollweide's projection

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モルワイデ図法」の意味・わかりやすい解説

モルワイデ図法
もるわいでずほう
Mollweide's projection

地図投影の一種。正積図法の擬円筒図法。世界全図に用いる。楕円(だえん)図法の一種で、地球全体を長軸と短軸の比が2:1の楕円形とし、半球を円形、長軸を赤道、短軸を中央経線緯線は赤道に平行直線中央経線以外の経線は楕円弧で表す。図の中央の中緯度部分では投影のひずみがない。緯線を等間隔で平行直線にした楕円図法を、19世紀初めにドイツのシュミットGeorg Gottlieb Schmidt(1768―1837)が考案したが、それを1805年にドイツのモルワイデKarl Brandon Mollweide(1774―1825)が正積になるように緯線間隔を改良した。

 1857年ごろフランスでバビネJacques Babinet(1794―1872)がホマログラフ図法(ホマロはギリシア語で「平らな」)、またはホモログラフ図法(ホモロはギリシア語で「調和」)の名称で紹介した。ドイツのベルグハウス自然地図帳の主題図に用いられ、19世紀の新しい擬円筒図法として有名になった。投影軸が地軸と斜めに交わる斜軸で大西洋の中央で北緯45度の地点を中央に置いたアトランティス図法が、1948年のバーソロミュー地図帳の地域図に使われた。また別の斜軸のものが1977年の日本国勢地図帳に使われた。

[金澤 敬]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モルワイデ図法」の意味・わかりやすい解説

モルワイデ図法
モルワイデずほう
Mollweide's projection

正積擬円筒図法の一種で,楕円図法,バビネ図法 Babinest's projection,ホモログラフ図法 homolographic projectionともいう。 1805年ドイツの天文学者 K.モルワイデが発表した。図形の長軸と短軸の比が2:1の楕円の中に世界全体を表わす。赤道と中央経線は直交する直線で,その他の経線は楕円であるが,中央経線の中心から経度差 90度のものは短軸を半径とした円で表わされる (つまり半球を円に収める) 。緯線は赤道に平行な直線で,その間隔は対応する緯度帯の表面積と正積になるように算出されたもので,極に近づくに従い狭くなっている。中央経線上,中緯度のところは地図のひずみがない。赤道上やその他の場所のひずみはあるが,周辺高緯度部分のひずみはサンソン図法より緩和されている。任意の経線上で北緯 45°の点を極とする斜軸のモルワイデ図法をアトランティス図法 Atlantis projectionという。 1951年に考案され,55年以降のバーソロミュー地図帳に多く用いられている。

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