日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマアイ」の意味・わかりやすい解説
ヤマアイ
やまあい / 山藍
[学] Mercurialis leiocarpa Sieb. et Zucc.
トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の多年草。根茎は長くはい、白色で乾くとやや紫色になる。茎は四角形で、直立して高さ30~50センチメートル、毛はなく、基部の2、3節を除き、葉を対生する。葉は有柄で卵状長楕円(ちょうだえん)形、先はとがり、縁(へり)に鈍鋸歯(どんきょし)があり、脈上に粗毛がある。葉質は薄く、光沢がある。托葉(たくよう)は披針(ひしん)形で反り返り、宿存する。4~7月、下部の葉腋(ようえき)に雄性の穂状花序を、上方の葉腋に雌性花序をつける。雄花は萼片(がくへん)3枚と雄しべが多数あり、花糸は長い。雌花は萼片3枚と子房が1個あり、柱頭は2裂する。蒴果(さくか)は二分し、表面に少数の突起がある。林下に生え、本州から沖縄、および朝鮮半島、中国、インドシナに分布する。古代に染料として使われたといわれ、また染料植物のリュウキュウアイを一名ヤマアイということから混同され、藍(あい)染めに使うといわれるが、藍色の染料色素は含まない。
[小林純子 2020年6月23日]