ヤマビル(読み)やまびる

共同通信ニュース用語解説 「ヤマビル」の解説

ヤマビル

ミミズ仲間陸生ヒル褐色で背に黒色縦線がある。岩手県から沖縄県まで広く生息する。移動には吸盤を使い、動物に取り付いた後は皮膚を切って吸血する。その際、血液凝固を妨げる「ヒルジン」という物質を分泌するため、止血しにくくなる。ニホンジカなどのひづめに穴を開けて寄生し、遠くへ移動することもある。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマビル」の意味・わかりやすい解説

ヤマビル
やまびる / 山蛭
[学] Haemadipsa zeylanica japonica

環形動物門ヒル綱顎(あご)ビル目ヤマビル科に属する亜陸生動物。本州四国、九州に分布し、山麓(さんろく)や谷間の湿地にすむ。体は長さ2、3センチメートルの円柱形で、背面には多くのいぼ状の突起があり、腹面は扁平(へんぺい)、黄褐色の地肌の背面に黒い3本の縦縞(たてじま)がある。各体節は1~5体環からなっている。単眼は5対で、第2、第3、第4、第5、第8体環上にある。皮膚の感覚器で、ヒトや獣類の呼気を感じ取り、シャクトリムシ状の前進運動で移動する。前方吸盤の口には3個のあごがあり、おのおのが約90個の歯をもっている。このあごで傷をつけ、ヒトや哺乳(ほにゅう)類の血を吸う。雌雄同体で、吸血したのち、交尾し、産卵する。幼生は卵嚢(らんのう)内で育つ。農薬には弱い。

 この亜種は、アメリカのホイットマンが1886年にH. japonicaとして報告したものであるが、その後アメリカのモーレJ. P. Mooreが1927年にスリランカ産のヘマジプサ・ゼイラニカH. zeylanicaの1亜種としたものである。本種はH. zeylanicaより体が大きいこと、背面の3本の縦縞が明瞭(めいりょう)なことで区別される。

[今島 実]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤマビル」の意味・わかりやすい解説

ヤマビル
Haemadipsa zeylanica var. japonica

環形動物門ヒル綱顎ビル目ヤマビル科。体長 3cm内外。体は両端が細い円柱状で,背面に小さないぼ状の突起を多数もつ。体色は黄色みを帯びた褐色で,背面に暗色の縦線が3本走る。顎は3個あり,それぞれに 90個近い歯がある。単眼は5対。山地の陰湿地にすみ,ヒトおよび他の哺乳類から吸血するが,吸血量は多く,1回に体重の 10倍もの血を吸うことができる。本州,四国,九州に分布する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報