改訂新版 世界大百科事典 「ヨコエソ」の意味・わかりやすい解説
ヨコエソ
bristlemouth
Gonostoma gracile
ワニトカゲギス目ヨコエソ科の深海魚。体は細長く側扁し,後方にいくにつれてさらに細くなる。鋭い歯を備えた巨大な口をもつ。口裂は頭長の約4/5に達する。体の腹面,体側の下側および背縁に沿って発光器列がある。眼の直前と尾柄部後端の腹面に体側発光器より大きな発光組織がある。背びれは小さく体の中心よりやや後ろにある。しりびれは体の中心より始まる。腹びれは体の中心よりやや前にある。性転換を行うことが知られており,孵化(ふか)後成長して6~7cmに達すると雄として成熟し,翌年から雌に性転換して成熟し1年若い雄と生殖活動に参加する。最大体長は12cm前後である。稚仔(ちし)の時期は30~200m層中心に分布するが,成長につれて生息深度を下げて成魚は300~1000m層中心に生息する。おもに橈脚(じようきやく)類,オキアミ類など小型甲殻類を食べる。太平洋北西部の亜熱帯から亜寒帯域の外洋にふつうに分布する。ヨコエソ科Gonostomatidaeの魚類は全世界で約60種が,日本近海からは約20種が知られている。
→深海魚
執筆者:川口 弘一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報