穀物乾燥調製施設ともいう。コンバインで収穫した生もみを農家から受け入れて,乾燥,もみすり,精選して玄米とし,包装するまでの一貫作業を行う共同施設のこと。食糧事務所の検査を受けた規定包装の玄米を保管するための農業倉庫も併設されている。もみは農家ごとに,また品種ごとに乾燥,調製される。機能的にはカントリーエレベーターから貯蔵用のサイロを除き,規模,能力を小さくしたものともいえる。
ライスセンターの主要設備は,作業工程の順に,トラックスケール,もみ貯留タンク,乾燥機,もみ冷却タンク,もみすり機,米選機および計量機から成り,それぞれのステップ間は各種のコンベヤで連結されており,もみの流れが自由に調節できるしくみになっている。乾燥機ともみすり機を中心とした共同施設は1955年ごろから建設,利用が始まったが,昭和40年代以降はコンバインの普及に伴ってライスセンターの名称が確定し,施設内容が充実するとともに,その数が増加してきている。
刈取後の乾燥調製作業をこのような共同施設で行うと,個々の農家にとっては,(1)設備費や乾燥のための費用が軽減される,(2)収穫時期の労力不足が緩和される,(3)専門のオペレーターがもみ水分の管理をするので仕上がりが均一となり,玄米の検査等級もよくなる,などの利点がある。一方,ライスセンターの運営の側からみると,刈取時期の気象条件によって稼働率が変動し,また,農家別,品種別にもみを扱うため,その性能を十分に発揮できないなどの問題点がある。なお,カントリーエレベーターとも共通する悩みは,もみがらの処理法で,現在は焼却処分されることが多い。
執筆者:松崎 昭夫
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農家から半乾籾(もみ)(含水率15~18%)ないしは生籾(含水率18%以上)を受け入れ、これを人工乾燥手段によって所定の含水率(14.5%)に乾減し、玄米に調製(籾擢(す)り、精選)し、包装、検査、出荷する大規模な米穀の共同乾燥調製施設である。これに先だつ作業工程は農家による収穫籾の本施設への搬入であり、同じくこれに引き続く作業工程は指定農業倉庫への搬出であり、米穀はそこで玄米の形で保管貯蔵されることになる。わが国におけるライス・センターの設置は1959年(昭和34)から開始されており、とくに75年以降の5年間には年々ほぼ200の施設が建設されるに及び、95年(平成7)現在で施設の総数は全国で3643を数えるに至っている。これらのものの多くは国庫補助を受けて建設されており、設立主体、設置後の管理・運営主体は施設総数の67%(2457施設)までが農業協同組合である。乾燥・調製作業の省力化がこの施設のもっとも大きな目的であるが、収穫過程の機械化に伴って人工乾燥の必要性が急速に高まり、乾燥機の個人導入とともにライス・センターの設置が進展した。さらにコンバインの本格的な普及とともに、カントリーエレベーター、ドライ・ストアなどの類似施設の設置も増加している。
[小池恒男]
『庄司英信他著『農業機械学』(1971・朝倉書店)』▽『長島守正他著『農業施設』(1976・文永堂)』▽『日本農作業研究会編『農作業便覧』(1985・農林統計協会)』
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