らしい(読み)ラシイ

デジタル大辞泉の解説

らしい[助動]

[助動][○|らしく・らしかっ|らしい|らしい|○|○]動詞・形容詞・助動詞「れる」「られる」「せる」「させる」「ない」「たい」「た」「ぬ(ん)」の終止形、体言、形容動詞の語幹、一部の副詞などに付く。
根拠や理由のある推量を表す。「台風が接近しているらしく、風雨が強まってきた」
「又からすがなくので見ると狐がきている。よほどひだるいらしい」〈桑名日記〉
伝聞や推量に基づく婉曲(えんきょく)な断定の意を表す。「冬山というのは非常に危険らしい」「隣の子はよく勉強するらしい
(多くは体言に付いて)ぴったりした状態、よく似た状態にある意を表す。いかにも…のようである。まさに…と見うけられる。「名探偵らしい見事な推理だ」
「どうやら実説らしくもあり、又嘘らしい所もあるてな」〈滑・浮世風呂・四〉
[補説]近世になって、古語の「らし」と、活用があって形容詞を作る接尾語「らしい」との類推から生まれたといわれる。連用形は、「ございます」「存じます」に続くときに「らしゅう」となる。仮定形として「らしけれ」が考えられるが、代わりに「ようなら」を使うことが多い。なお、近世以降、同源の文語形推量の助動詞としての「らし」も用いられた。「このころとられたらしき中間が封じ文出して」〈浮・好色盛衰記〉また、3接尾語との区別のつかない場合もある。

らし・い[接尾]

[接尾]《形容詞型活用[文]ら・し(シク活)》
名詞に付いて、…としての資質を十分に備えている、…と呼ぶにふさわしい、などの意を表す。「男―・い男」「春―・い陽気」「人間―・い生活」
名詞、形容詞・形容動詞の語幹、副詞などに付いて、…という気持ちを起こさせる、…と感じられる、などの意を表す。「ばか―・い」「愛―・い」「―・い」「わざと―・い」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

らしい

( 助動 ) ( ○ ・らしく(らしかつ) ・らしい ・らしい ・○ ・○ )
〔近世文語において用いられた推量の助動詞「らし」の口語形から〕
推量の助動詞。名詞や形容動詞の語幹、および動詞・形容詞の終止形に付く。また、助動詞「れる・られる」「せる・させる」「ない」「たい」「ぬ」「た」などにも付く。さらに、一部の副詞や一部の助詞にも付く。
なんらかの根拠や理由のある推量を表す。…と推定される。 「この空模様では雪にでもなるらしい」 「この明るさからすると、日没までにはまだ間があるらしい」 「この本は山田君のらしい
判断の結果を断定せず、婉曲に表現する。…であるようだ。…だと思われる。 「むこうから来るのは親父らしい」 「彼の家は駅から歩いてすぐらしい」 「講演会は二時かららしい
…にふさわしい様子である、…によく似た状態である、などの意を表す。 「やっと祝賀会らしいふんいきになってきた」 「どうやら外国に来たらしい気分になれた」 〔助動詞の「らしい」と形の同じものに接尾語の「らしい」がある。両者は、いちおう意味の上で区別することができる。(ア)「あれは隣の子供らしい」「あの人が問題の男らしい」(以上、助動詞の「らしい」)。(イ)「あれはいつまでも子供らしい」「彼はほんとうに男らしい」(以上、接尾語の「らしい」)。しかし、実際には、区分の分明でない場合も時には見られる〕 → らし(助動)らしい(接尾)

らしい

( 接尾 )
〔中世後期以降の語。形容詞型活用[文] シク ら・し
名詞・副詞、または形容動詞の語幹などに付いて形容詞を作る。
…としての特質をよくそなえている、いかにも…の様子である、…にふさわしい、などの意を表す。「男らしい」「子供らしい」「学者らしい」など。
…という気持ちを起こさせる、…と感じられる、などの意を表す。「ばからしい」「もっともらしい」「わざとらしい」など。 → らしい(助動)

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

らしい

〘助動〙 (活用は「〇・らしかっ、(らしゅう)、らしく・らしい・らしい・らしけれ・〇」らし 「らしから・らしかり、らしく・らし・らしかる、らしき・〇・〇」。体言・形容動詞の語幹、また、動詞・形容詞の終止形に付く。推量助動詞。客観的な根拠に基づいた推量を表わす。伝聞による事実などが根拠になることもあり、また、根拠ある推量表現が婉曲な断定として用いられることもある) …と判断される様子である。…と思われる。
※浮世草子・好色盛衰記(1688)五「知行から、此比とられたらしき中間が封じ文出して」
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉三「定めし美麗婦人(すごいしろもの)らしいよ」
[語誌](1)中世後期に成立した接尾語「らしい」が近世以降に助動詞化したもの。成立については、上代から中古にかけて用いられた推量の助動詞「らし」と結び付ける説もある。しかし、「らし」は中古中期以降、口頭語では用いられず、古語として意識されていたことなどから疑問。
(2)仮定形「らしけれ」はほとんど用いられず、仮定表現には「らしかったら」「らしいなら」の形が用いられる。ただし、接尾語「らしい」では「男らしければ」のように「らしけれ」も用いられる。
(3)現代語「らしい」は、古典語「らし」とは違って「明日雨が降るらしい」のように未定の事実を対象とする推量にも用いられる。ただし、その場合でも「空模様があやしい」といった現在の事実を手がかりにする意味合いが強い。

らし・い

[1] 〘接尾〙 (形容詞型活用) ら
(形容詞シク活型活用) 形容詞や形容動詞の語幹、名詞などに付いて、形容詞をつくる。近代では「わざとらしい」などのように副詞に付くこともある。いかにも…の様子である、…にふさわしい、…と感じられる、などの意を表わす。「あほうらしい」「男らしい」「にくらしい」など。
※史記抄(1477)一七「上はなんとない様で内心が毒らしうて人を傷害するぞ」
※歌舞伎・万歳丸(1694)一「『女さへ見ればびろびろと性のわるい、ちと嗜(たしな)ましゃれ』半之丞聞き『はて仔細らしい』」
[2] 〘形口〙 ((一)から転じて) いかにもそのようである。
※巷談本牧亭(1964)〈安藤鶴夫〉春高楼の…「格子へ手を掛けながら、それでも、もういちど紋啓を振り返るようにして、『入るよ』といった。およそ、らしからざる客である」

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