キンポウゲ科の塊根を有する多年草で,ハナキンポウゲとも呼ぶ。ヨーロッパ南東部から西南アジア原産の多年草で,葉柄のある3裂する根出葉を出し,各小葉はさらに浅裂あるいは深裂する。春,高さ30~40cmの中空の花茎を数本伸ばし,1~数花をつける。花は5弁の一重咲きから重弁化したものまでさまざまで,花色も多彩である。16世紀末に一重咲きの系統がイギリスに導入された。やがて品種改良が進み八重咲きが生まれ,また最近はオランダ,アメリカ,日本などで改良が加えられ,ほとんど種子が実らない万重咲きで直径10cm以上の巨花や,50cm以上の高性種や鉢植え向きの矮性(わいせい)種などが作出されている。花色も赤,桃,橙,黄,白,深紅褐色やその中間色あるいは2色に咲き分けるものなど,美しい花を咲かせる品種が育成されている。北海道などの寒冷地以外は一般に秋植え球根として,切花,花壇,鉢植えに用いられている。栽培はふつうダリアの塊根を小さくしたような房状の塊根を水に数時間つけて,10月上旬に植え込む。酸性土を嫌うので,土地には石灰を施し,肥料は油かすなどを多い目に与える。極寒期は少し横に敷きわらなどをする。花の終わった6月,葉が黄変したころに掘り上げ,株を水洗いし,古茎を切り捨て網袋などに入れて通気のよい所で陰干しして越夏する。
キンポウゲ属Ranunculus(英名buttercup,crowfoot)は北半球の温帯を中心に600種ほどがあり,南半球の熱帯高地にも少数種が分布している。多くは鮮黄色の美しい花をつけ,ハナキンポウゲ以外にも数種が園芸的に栽植されている。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)キンポウゲ属の総称。一年草または多年草。北半球の寒冷地から温帯、熱帯の山岳地に約550種が分布する。日本にはウマノアシガタ(キンポウゲ)やミヤマキンポウゲなど27種が野生する。園芸界でラナンキュラスの名で市販されるのは、本属のうちヨーロッパから西南アジア原産のハナキンポウゲR. asiaticus L.から改良された系統のものをさす。露地では4月下旬から5月上旬に開花し、赤、桃、橙(だいだい)、黄、白など多彩である。普通は一重の5弁であるが、数十弁の大輪花も多い。花茎は高さ30~50センチメートル。切り花、鉢植え、花壇に利用される。酸性土を嫌い、また冬季に凍害を受けやすいので注意する。
[植村猶行 2020年3月18日]
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