ランドー(読み)らんどー(英語表記)Walter Savage Landor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランドー」の意味・わかりやすい解説

ランドー
Landor, Walter Savage

[生]1775.1.30. ウォリック
[没]1864.9.17. フィレンツェ
イギリスの詩人。激しい気性で,オックスフォード大学を放校になったのちも周囲に争いが絶えず,20年余をイタリアで過した。悲劇『ジュリアン伯爵』 Count Julian (1812) のほか,牧歌,抒情詩警句などを集めた『ギリシア人』 Hellenics (47) ,『ローマ人』 Italics (48) ,『英雄牧歌』 Heroic Idylls (63) などの作品がある。彼の詩は形式と主題古典に負い,整然とした明晰な文体をもち,ときに風刺的な調子を帯びる。しかし最もよく知られた作品は散文による『想像の対話』 Imaginary Conversations of Literary Men and Statesmen (24~28) ,『想像の対話-ギリシア・ローマ編』 Imaginary Conversations of Greeks and Romans (53) である。エピキュロスから G.ワシントンまで,さまざまな時代人物が登場して,政治社会,文学上の問題について語り合い,ランドーの見解を代弁するが,ここでも古典に精通した端正で明快な文体が精彩を放っている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランドー」の意味・わかりやすい解説

ランドー
らんどー
Walter Savage Landor
(1775―1864)

イギリスの詩人。短気で争い好きな性格からオックスフォード大学を追われ、生涯放浪に費やしてフィレンツェで客死。処女作の長編物語詩『ジーバー』(1798)をはじめ、多くの詩や戯曲を書いたがあまり認められず、死後はむしろ、古今の著名人の対話を空想してつくりあげた散文の異色作『架空対話集』五巻(1824―29)の著者として知られている。時代としてはロマン主義に属するが、その深い古典的教養と伝統的詩風のゆえに、時流から離れた一種特異な位置を占めている。

[上島建吉]

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