リュウキュウガモ(読み)りゅうきゅうがも(英語表記)whistling duck

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リュウキュウガモ」の意味・わかりやすい解説

リュウキュウガモ
りゅうきゅうがも / 琉球鴨
whistling duck

鳥綱カモ目カモ科リュウキュウガモ属に含まれる鳥の総称。この属Dendrocygnaには、南半球主産の8種があり、種のリュウキュウガモD. javanicaのみが北半球の沖縄(琉球(りゅうきゅう))まで記録があるがまれである。全長40~56センチメートルと体は中形、小形で、頸(くび)と足が長く、尾が小さい。体をおこした姿勢を保ち、水かきが大きいため水上に低く浮く。羽色は種によって独特であり、種のリュウキュウガモは最小種で褐色型であるが、赤褐色や黒色部のあるはでな羽色や蓑羽(みのばね)のある種もある。声は甲高い笛音で、小群あるいは雌雄で鳴き合う。カオジロリュウキュウガモでは雌雄間の相互頭かき行動が発達している。沼地スイレンの浮く沼、マングローブ林などにすみ、社交性が強く数百羽、数千羽の群れをなし、ねぐらと採餌(さいじ)場間の移動、あるいは季節的に群れ移動を行う。雌雄は仲がよく、永久的なつがいで生活する。巣縄張りはなく、1腹10卵以上の場合も少なくない。雌雄とも抱卵する。巣は、地上営巣性のものと、アカハシリュウキュウガモのような樹洞営巣性のものがあり、後者には、その木に止まる習性からtree duckの英名もある。

黒田長久

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改訂新版 世界大百科事典 「リュウキュウガモ」の意味・わかりやすい解説

リュウキュウガモ (琉球鴨)
Indian whistling duck
Dendrocygna javanica

カモ目カモ科の鳥。中国南部,インド,東南アジア,スマトラ島,ジャワ島,南西ボルネオなどに分布する。日本では沖縄本島と八重山諸島から記録があるため,この名がつけられている。しかし最近は観察されたことがまったくなく,琉球諸島における生息状況は不明である。全長約41cm。全身濃い赤褐色をしており,背には灰色に濃褐色の横縞がある。くちばしと脚は黒い。雌雄同色。脚が長いために,飛ぶときには尾よりも後方へ出る。森林の中の沼地や河川湿地などに小さな群れをつくってすみ,水草の種子や根,水生昆虫,カエル,小魚,小型の貝類などを食べている。鳴声は口笛の音に似る。

 リュウキュウガモの仲間は世界の熱帯地方と南半球に8種が分布し,他のカモ類よりもくびと脚が長く,胴が比較的短い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リュウキュウガモ」の意味・わかりやすい解説

リュウキュウガモ
Dendrocygna javanica; lesser whistling duck

カモ目カモ科。全長 41cm。頭頸部は灰褐色,腹部は褐色で脇には灰色横斑がある。雨覆と腰は褐色。背は黒褐色で褐色の縞模様がある。風切,尾羽,脚は黒色で,尾羽には渇色の横帯がある。インドからジャワ島中国南部にかけてのアジア南部に繁殖分布する。日本でも野生の鳥が沖縄島石垣島西表島などで記録され「リュウキュウ」の名がつけられたが,1960年代以後,少なくとも 50年間は信頼できる生息の記録がない。(→ガンカモ類

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