ルンゲ(その他表記)Philipp Otto Runge

デジタル大辞泉 「ルンゲ」の意味・読み・例文・類語

ルンゲ(Philipp Otto Runge)

[1777~1810]ドイツの画家。フリードリヒとともにドイツ‐ロマン主義絵画を代表。「朝」などの神秘的・象徴的作品のほか、肖像画にもすぐれた。

ルンゲ(〈ドイツ〉Lunge)

肺。また俗に、肺結核をさす。

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精選版 日本国語大辞典 「ルンゲ」の意味・読み・例文・類語

ルンゲ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Lunge )
  2. 肺臓。
  3. 肺結核の俗称。
    1. [初出の実例]「あいつ子供のときからルンゲで蒼黒い顔して、午後になると熱にうるんだ眼をしちょった」(出典:海燕(1968)〈大原富枝〉一)

ルンゲ

  1. ( Philipp Otto Runge フィリップ=オットー━ ) ドイツの画家。ドイツ‐ロマン派絵画の代表的画家の一人。神秘的象徴に満ちた作品を描く。肖像画にもすぐれたほか、芸術論も残した。(一七七七‐一八一〇

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改訂新版 世界大百科事典 「ルンゲ」の意味・わかりやすい解説

ルンゲ
Philipp Otto Runge
生没年:1777-1810

ドイツ・ロマン派の画家。北ドイツのウォルガスト生れ。コペンハーゲンのアカデミーに学んだのち,1801年よりドレスデンハンブルクに住みティークをはじめ多くのロマン主義文学者,思想家と交際,ベーメの神秘思想にも触れる。ゲーテの主催する公募展落選を機に歴史画の時代は終わったと痛感,新時代の芸術として人間の主観を投影した新しい風景画を構想。03年その試みとして版画連作《四つの時(朝夕昼夜)》を発表,幾何学的・装飾的構図と植物や子どもの姿に託した複雑な個人的象徴体系を用い,自然の運行にキリスト教的意味での世界の歴史を重ねて表現して注目されるが,神秘主義,美術の限界とも評される。その油彩化に当たり色彩の重要性を認識,観察と象徴的意味づけの両面から色彩論にも取り組む。油彩化計画は未完に終わったが,最晩年の《朝》は具体性と力強さを増し,色彩表現の頂点に立つ絶唱となる。肖像画にも優れ,とくに幼児のそれは感傷を排し原初的生命力と厳しさに満ちた新しい把握を示す。
執筆者:


ルンゲ
Fridlieb Ferdinand Runge
生没年:1794-1867

ドイツの化学者。ハンブルクに生まれる。イェーナ大学で医学を修めたあと,1822年ベルリン大学で化学を学び博士号を取得,28年ブレスラウ大学教授となる。31年オラニーンブルクの化学会社に移り,そこでコールタールの分留から最初の人造タール染料〈アニリンブラック〉を製造,34年特許を取った。このほかペーパークロマトグラフィーによる化学分析の先駆的業績でも知られる。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルンゲ」の意味・わかりやすい解説

ルンゲ(Friedlieb Ferdinand Runge)
るんげ
Friedlieb Ferdinand Runge
(1795―1867)

ドイツの有機化学者。ハンブルクの近郊で生まれる。ベルリン大学で医学を学んだのち、ゲッティンゲン大学で化学を学び、1819年イエナ大学で学位を得た。1823年にブレスラウ大学教授になったが、まもなく辞任して1832年からオラニエンブルクの化学工場で研究を続けた。アトロピンの研究、カフェインおよびキニンの発見、コールタールの蒸留によるフェノール、アニリン系染料の発明などがあり、コールタール染料工業の先駆者として知られる。ペーパークロマトグラフィーの発明者の一人でもある。

[廣田 穰 2016年11月18日]


ルンゲ(Georg Lunge)
るんげ
Georg Lunge
(1839―1923)

ドイツの工業化学者。ブレスラウ大学で化学を専攻し、ついでハイデルベルクブンゼンキルヒホッフに学ぶ。1860年から工業界に入り、1875年にチューリヒのスイス連邦工業大学の工業化学の教授に迎えられ、ついでスイスの市民権を得た。無機化学工業に科学的な研究と管理を導入し、その成果を技術の経済的な課題へと適用したため、その膨大な著作は工業界からたいへんに歓迎され、彼のハンドブックは何十年にもわたって化学工業の標準的なテキストとなった。

[加藤邦興]


ルンゲ(Philipp Otto Runge)
るんげ
Philipp Otto Runge
(1777―1810)

ドイツの画家。ポンメルンのウォルガストに生まれる。1799~1801年コペンハーゲン、01~03年ドレスデンの各美術学校で学ぶ。ドレスデンで詩人ティークを知りロマン主義に開眼、また哲学者ベーメの著作によって神秘的な自然観を啓発される。02~03年宇宙の生成発展を象徴する『朝、昼、夕、夜』四部作の構想によってアカデミックな古典主義を離れる。03年末以降ハンブルクに定住し、力強い写実と素朴な内面性を結び付けた肖像画の制作を行う。『芸術家の両親』(1806・ハンブルク美術館)はその代表作。08年『朝』(同上)を制作し四部作の完成に着手するが、第二作の制作なかばでハンブルクに夭折(ようせつ)した。彼は色彩論の研究者として独得の色球体を考案し、またロマン主義に基づく二巻の理論書を残している。作品の多くはハンブルク美術館に所蔵されている。

[野村太郎]

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百科事典マイペディア 「ルンゲ」の意味・わかりやすい解説

ルンゲ

フリードリヒに次いでドイツ・ロマン主義を代表するドイツの画家。ゲーテと親交を持ち色彩研究に没頭する一方で,ドイツ神秘主義的立場から新しい風景画の創造を志した。音楽と詩の朗読を伴って鑑賞されるべく《朝》,《昼》,《夕》,《夜》4部作を構想するが,《朝》の油彩バージョン2点を残して夭折し未完に終わった(他は素描が残されている)。肖像画家としても優れ,作品の大部分はハンブルク美術館に所蔵されている。

ルンゲ

ドイツの有機化学者。1823年ブレスラウ大学教授。のち化学工場で研究を続け,アトロピンの毒作用の発見,カフェイン,キニン,プルプリンの発見でプリン化学の発展を導いた。1834年コールタールの分留により酸性および塩基性成分を分離,タール染料工業の先鞭をつけた。

ルンゲ

ドイツの工業化学者。ブンゼンに学び,1876年から32年間チューリヒ工科大学教授として同大学の発展に寄与。鉛室法硫酸製造に関する研究をはじめ,広く工業化学の発展に尽くした。著作も多い。A.ウェルナーは彼の門下。

ルンゲ

ドイツの数学者。1904年ゲッティンゲン大学教授。数値解析,図計算を研究。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルンゲ」の意味・わかりやすい解説

ルンゲ
Runge, Friedlieb Ferdinand

[生]1795.2.8. ハンブルク近郊ビルベルダー
[没]1867.3.25. オラニエンブルク
ドイツの有機化学者。ベルリン大学で学位を取得 (1819) し,同大学講師 (22) ,ブレスラウ大学教授 (23) 。ペーパークロマトグラフィーの発見者として知られている。 1819年にカフェイン,キニーネ,22年にプルプリンを発見。 32年からオラニエンブルクの化学工場で研究に従事,34年コールタール蒸留物からの染料の製造法を開発。またベラドンナが瞳孔散大を引起すことを発見した。著書に「Farbenchemie (色素化学) 」がある。

ルンゲ
Runge, Philipp Otto

[生]1777.7.23. ウォルガスト
[没]1810.12.2. ハンブルク
ドイツの画家。コペンハーゲン,ドレスデンの美術学校に学び,風景画家の C.フリードリヒ,哲学者シュレーゲル,ゲーテたちと出会う。 1804年以来ハンブルクで制作。ドイツの歴史,童話,民話に興味をもち,汎神論的な思想を背景に寓意的で象徴的な風景画,人物画を描き,ドイツ・ロマン派の代表的存在となる。代表作『朝』 (1808,ハンブルク美術館) 。

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367日誕生日大事典 「ルンゲ」の解説

ルンゲ

生年月日:1839年9月15日
ドイツの化学者
1923年没

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世界大百科事典(旧版)内のルンゲの言及

【フェノール】より

…自然界では,哺乳類の尿,マツの葉,タバコの葉の精油中などに存在する。
[製法]
 フェノールは1834年,ドイツの化学者ルンゲFriedlieb Ferdinand Runge(1795‐1867)によりコールタールからはじめて得られた。第1次大戦中,爆薬としてのピクリン酸製造の需要を満たすためベンゼンのスルホン化で得たベンゼンスルホン酸のアルカリ融解で合成されるようになった。…

【神秘主義】より

…まず,イギリスの聖霊主義運動に加わったW.ブレークは,霊視ないしは瞑想により得られた寓意図を描いてラファエル前派などの心霊的な画風に先鞭をつけた。同時にドイツ・ロマン派のO.ルンゲやC.G.カールスは大宇宙と個人との直接的交感をテーマとして壮大なビジョンを呈示した。音楽ではとくに《魔笛》においてフリーメーソンの秘儀を表現したといわれるモーツァルト,北欧神話の象徴性に霊感を得たW.R.ワーグナーなどが挙げられよう。…

※「ルンゲ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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