ペーパークロマトグラフィー(読み)ぺーぱーくろまとぐらふぃー

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ペーパークロマトグラフィー
paper chromatography

クロマトグラフィーの1種。ろ紙クロマトグラフィーとも呼ばれ,PC,PPCと略記されることがある。 1944年 A.マーティンおよび R.シングによって初めて試みられた方法で,支持体としてろ紙を用いることで,他のクロマトグラフィーと区別される。乾いたろ紙の一端から少し離れたところに試料を付着させ,その端を適当な溶媒に浸すと,毛管現象による溶媒の浸透に伴って試料中の各成分はそれぞれ別のスポット (斑点) として移動し,溶媒の浸透が続けば,それに対応して各スポットの移動・分離が起る (→展開 ) 。対象とする物質が無色の場合は適当な呈色試薬によって検出する。原理的には分配型クロマトグラフィーに分類され,ろ紙のセルロースに含まれている水と溶媒との間の分配係数に対応して,各成分の相互分離が起る。成分スポットの移動距離と溶媒の浸透した距離の比は Rf値と呼ばれ,成分物質の同定に利用できる。この方法は簡便であるので,のちに考案された薄層クロマトグラフィーとともに微量物質の確認・同定に広く利用されている。異なる溶媒を用いて直角方向に2回展開する二次元法や,ろ紙にあらかじめ流動パラフィンなどの親油性溶媒を含ませておき,展開溶媒として親水性溶媒を用いる逆相法などが考案されている。またスポットの検出には特性基の呈色反応のほか,紫外線によるケイ光検出も利用される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ペーパークロマトグラフィー
ぺーぱーくろまとぐらふぃー

分配クロマトグラフィー

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