レイノー病(読み)れいのーびょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レイノー病」の意味・わかりやすい解説

レイノー病
れいのーびょう

レイノー症候群のうち、基礎疾患が認められず、四肢の小動脈の機能的な収縮によっておこるものをいい、一次性レイノー症候群ともいう。

 若い女性に多く、男性の約4~5倍で、20歳前後の発症例過半数を占めている。徐々に発症し、初めは指先だけにおこるが、やがて指全体に広がる。多くの場合、手の指に発症するが、ときには足の指にもみられる。両手足に対称性に出現し、皮膚の色調が蒼白(そうはく)、チアノーゼ、あるいは紅潮などに変化し、同時にしびれ感、疼痛(とうつう)、灼熱(しゃくねつ)感を伴うことが多い。寒冷になる季節や環境、また情緒刺激で症状が悪化し、月経時に増悪することもある。長期間経過した症例では、皮膚の肥厚や手足の指の先端に潰瘍(かいよう)を生ずることがまれにある。

 治療法としては、誘因となる寒冷刺激を避けるような日常生活の管理や、症状の変化に対する不安感を取り除くことがたいせつで、必要があれば鎮静剤を投与する。薬物療法としては血管拡張剤が使用されるが、効果は一時的である。進行性潰瘍の形成が認められる症例に対しては、交感神経切除術が行われることもある。

[木村和文]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レイノー病」の意味・わかりやすい解説

レイノー病
レイノーびょう
Raynaud's disease

フランス医師 M.レイノー (1834~81) が 1862年に記載したレイノー症候群の一型。寒冷や情動によって発作的に四肢末端の動脈が収縮し,指が蒼白となって,しびれ感を伴う現象レイノー現象というが,原病があって二次性にこの現象を起すものをレイノー症候群,原病が明らかでなく原発性にこの現象を起すものをレイノー病という。レイノー病は左右対称性に起り,若い女性に多い。治療は対症的に血管拡張剤を使用したり,ときに交感神経切除を行うこともある。

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