日本大百科全書(ニッポニカ) 「レプチャ語」の意味・わかりやすい解説
レプチャ語
れぷちゃご
シッキムを中心に東ネパール、西ブータンなどで話される言語。ロン語ともいう。19世紀に文法書・辞典がつくられているが、その所属系統に諸説があり、ヒマラヤ語系、北ナガ語系に入れたり、テングサ語に近いとする。また、基層言語として、モン・クメール諸言語をあてる場合もある。単音節語を主体とし、主語・目的語・動詞の順に並べられ、名詞に格助詞がつき、形容詞は名詞のあとに置かれる。「白い馬」は、馬←白い、「よい人」は、人←よいとなる。語彙(ごい)には古いチベット語からの借用語を多く含む。18世紀初頭につくられたレプチャ文字は、チベット文字より複雑な字形をもつが、通説では、その起源はチベット文字(無頭字)に求められる。
[西田龍雄]