レーザー光を用いて距離を測定すること。光を用いて距離を測定する光波測距儀の原理は電波測距儀とまったく同様である。強弱の波に変調した光を発射し,この波と反射して返ってくる光の位相差を測定して距離を求める。この光に大きな出力が得られやすく,かつコヒーレンスの性質が優れたレーザーを用いると分解能や精度を高めることができる。レーザービームを送信望遠鏡でひろげ,かつ平行ビームとして発信し距離Rの物体に照射する。物体で散乱されたレーザーを適当な開口面積をもつ受信光学系で集光し光電変換する。ビーム直径が広がって対象物に当たる面積より対象物が大きいとき受信能力は1/R2で減衰し,広がったビーム面積より対象物が小さいとき近距離では1/R2,遠距離では1/R4に比例して減衰する。固体レーザーや半導体レーザーアレーから発するパルスを用いるものでは,送信光パルスの一部でクロックパルスの計数回路を閉じ計数を開始させ,返ってきた受信光パルスで計数を止め,その計数値から距離を求める。他の光源やマイクロ波を用いる場合と比べると次のような長所がある。(1)ビームの指向性が強いので受信効率が高い。(2)受信視野が小さくできるから背景光雑音が減少でき,方位分解能も高い。(3)単色性が優れているので受信フィルターの波長帯域幅を小さくすることができ,背景光雑音が減少する。(4)パルス時間幅が短く距離測定精度が高い。(5)高出力および高速繰返しパルス特性で受信感度を向上させている。これらの諸特性を利用し,長さ標準の較正,測地,地殻ひずみの観測などの精密測長,航空機用高度計,レーザーレーダーなどに応用されている。
執筆者:沢辺 雅二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…レーザー兵器には,レーザー光を利用して目標の標定,識別,ミサイル誘導などを行うレーザー応用兵器と,レーザー光のエネルギーで目標を破壊するレーザー・ビーム兵器とがある。レーザー応用兵器が最初に実用化されたのは1960年代中ごろで,短パルス・レーザー光の往復する時間から目標までの距離を計測する装置(レーザー測距装置)が各国の戦車に搭載された。その後,レーザー測距装置は双眼鏡型の小型携帯用のもの,赤外線装置等と組み合わせた対空射撃照準システム,航空機搭載測距システムなど種々の兵器システムに用いられている。…
※「レーザー測距」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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