ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワヒド」の意味・わかりやすい解説
ワヒド
Wahid, Abdurrahman
[没]2009.12.30. インドネシア,ジャカルタ
インドネシアの政治家,宗教指導者。愛称 Gus Dur。祖父はインドネシア最大のイスラム組織ナフダトル・ウラマ NUの創設者,父はスカルノ政権の初代宗教大臣。故郷ジョンバンのプサントレン(イスラム寄宿学校)などでコーランを学んだ。その後,エジプトのアズハル大学を経てイラクのバグダード大学に留学し,宗教に関する著述で注目を浴び始めた。1960年代末に帰国して学者として過ごしていたが,1984年に NUの議長に就任。それまで NUはイスラム系政党開発統一党に属していたが脱退し,社会活動や教育活動に重点を置いた。NUの長として宗教や政治の融和に尽力した功績により,1993年マグサイサイ賞を受賞。1994年世界宗教者平和会議 WCRP議長就任。スハルト政権崩壊後の混乱期の 1999年6月,みずからが結成した国民覚醒党を率いて総選挙に参加して第4党につけ,10月にインドネシア国民協議会 MPRで行なわれた大統領選挙で第1党,闘争民主党の党首メガワティ・スカルノプトリを破り,インドネシア第4代大統領に選出された。しかし国内で頻発する宗教抗争,民族紛争を抑えられず,たび重なる閣僚の更迭や自身の不正疑惑で国民の不信を招き,2001年7月 MPRにより罷免された。
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