アメリカのユダヤ系作家B・マラマッドの2作目の長編。1957年刊。ロシアからのユダヤ移民モリス・ボーバーの営む零細食品店で強盗を働いたイタリア系の青年フランクが、経営不振のその店に店員となって住み込み、売上金をくすねながらも、商売の立て直しに努力し、やがて店の娘ヘレンに対する恋慕心も手伝って、悔悟、苦難、滅罪、改宗の道を選ぶに至る物語。ニューヨーク・ブルックリンのくすんだ居住区を舞台に展開される哀歓の小説ではあるが、特異な叙情性、暗示性、人間味などに満ちた人物像の造形に成功している。1960年代以降、顕著な活躍をみせるユダヤ系作家たちの諸作品を示唆することになった先駆的作品の一つ。
[邦高忠二]
『酒本雅之訳『アシスタント』(1969・荒地出版社)』
…52年最初の長編《天与の才》を刊行,天才的な野球選手がさまざまな不運のためにつかのまの栄光から転落していく次第を独特のペーソスで描いた。〈苦難こそわたしたちを幸福に導いてくれる〉という主人公の恋人のせりふは,57年に出た代表作《アシスタント》で,寂れた食料品店という牢獄の中で苦難に耐える主人公の形象として具現する。この長編は多くの賞を受賞し,翌年の短編集《魔法の樽》とともにマラマッドの文名を確立した。…
※「アシスタント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
7/22 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新