大学事典 「アシュビー」の解説
アシュビー
Eric
イギリスの植物学者で,1950年代からマンチェスター大学,ケンブリッジ大学等,イギリスの複数の大学運営に関わったのをきっかけに,旧植民地を含む諸外国での教育,研究に関する調査に携わるようになる。イギリスをはじめとするヨーロッパの教育モデルの移植に過ぎなかったアフリカの教育を,現地の社会経済発展の需要に適用させるべきとの持論をもち,多くの著作を発表した。アフリカ,インドにおける社会文化的背景を分析し,高等教育の再検討を促した『Universities: British, Indian, African-A Study in the Ecology of Higher Education』(1966)や『African Universities and Western Tradition』(1964)はよく知られている。「アフリカの高等教育に関する王立委員会」の主査として1960年に発表した報告書は,英領アフリカにおける中等教育制度,教員教育制度の整備,複数の大学の新設や単科カレッジからの昇格に貢献したと言われる。とくにナイジェリアには自ら調査団の代表として赴き,当時の三つの州にそれぞれ大学を設立するよう提言するなど,独立後の高等教育制度の形成に大きな影響を与えた。
著者: 山田肖子
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報