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アジャータシャトル アジャータシャトルAjātaśatru

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アジャータシャトル
Ajātaśatru

仏教興起時における中インドマガダ国の王 (在位前 491頃~前 459頃,異説もある) 。阿闍世 (あじゃせ) 王とも書く。父はビンビサーラ王,母はバイデヒー。伝説によると,父王に子供がなかったので占い師に問うと,1人の仙人が死後王の太子として再生すると答えたので,王は待ちきれずその仙人を捜して殺害した。かくして生まれたのがアジャータシャトル (未生怨) であるという。この太子は長じるに及び,ブッダにそむいたデーバダッタ (提婆達多) にそそのかされ,父王を獄中に幽閉して餓死させて王位についた。在位期間中,周辺の敵国を併合してマガダ国を一大強国としたが,父王に対する自分の行為を悔い,ついに仏教の帰依者となった。ブッダの入滅後,マハーカーシャパ (摩訶迦葉) が十葉窟で仏典の第1回結集をした際に必要な資材の一切を供与し,またジャイナ教にも種々の保護を与えた。

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世界大百科事典 第2版の解説

アジャータシャトル【Ajātaśatru】

古代インド,マガダ国の王。在位,前493ころ‐前462年ころ。生没年不詳。漢訳仏典では阿闍世(あじやせ)とする。父はブッダの庇護者として名高いビンビサーラ(頻婆娑羅)。仏教の伝説によると,野心家のアジャータシャトルはブッダのいとこで背教者のデーバダッタ(提婆達多)にそそのかされ,父王を幽閉死させて王位についたという。在位中に北西方の大国コーサラや,北方のブリジ国Vṛjiを征服し,マガダ国発展の基礎を築いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アジャータシャトル
あじゃーたしゃとる
Ajtaatru

生没年不詳。古代インド、ブッダ(釈迦(しゃか))と同時代のマガダ国王(在位前491ころ~前459ころ)。漢訳仏典には阿闍世王(あじゃせおう)と記される。紀元前6世紀インド北東部のビハール南部平野で、しだいに強大となった王国の王子として生まれ、父王ビンビサーラを殺して王位につき、ラージャグリハ(漢訳名は王舎城。今日のラージギル)を都とした。ついで近隣の部族体制の諸国を併合し、北西の強国コーサラと覇権を争って破り、ガンジス川中流域の最強国となり、軍事組織と支配体制を整えて、インド古代統一国家形成の端緒を開いた。彼は仏教を信奉して保護し、その治世の間、新しい諸宗教が現れ、都市の商工業が栄えた。[山崎利男]

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世界大百科事典内のアジャータシャトルの言及

【阿闍世コンプレクス】より

…実際分析上,母を愛するゆえに父を殺害せんとする欲望傾向のほかに,生命の本源たる母自身の側の愛欲によって裏切られ,母を殺害せんとする傾向を示す精神病者がある〉とのべて,母親に内在する女としての愛欲によって裏切られ見捨てられる子どもの不安と敵意,その敵意ゆえに処罰される恐怖を中心として発展する観念複合体を,阿闍世コンプレクスと名付けた。この名称は,〈生まれる子は父親を殺す大罪人となる〉という仙人の予言を恐れた母妃が,わざと高い塔の上から自分を生み落として殺そうとしたのを知って,父王を殺害し,母をも殺そうとしたインドの王子アジャータシャトルの名に由来している。なお古沢は,父によって処罰される恐怖が内在化して生ずる,エディプス・コンプレクスにおける罪の意識を〈罪悪感〉と名付け,母に対して敵意を抱いたにもかかわらず,処罰されるどころか逆に母の愛によって許されてしまった時に生ずる罪意識を〈懺悔心〉と呼んで,罪悪意識を区別した。…

【韋提希夫人】より

…生没年不詳。王子アジャータシャトルが王を幽閉し,餓死させようとしたとき,ひそかに肌に粉をぬり,装身具に飲みものを満たして牢を訪れ,王を養ったが,発覚し,自らも幽閉された。牢内からの彼女の祈りにこたえて釈迦が現れ,この世に絶望して阿弥陀仏の浄土を願う妃に阿弥陀仏やその浄土を観想する方法を教える。…

【ラージャグリハ】より

…現在のビハール州の中央部に位置するラージギルRājgirにあたる。ビンビサーラ(頻婆娑羅)王によって造営されたといわれる旧城跡と,その子アジャータシャトル(阿闍世)王による新城の遺跡がある。7世紀の玄奘はたび重なる火災のために新たに新城が建設されたことを伝えている。…

【リッチャビ】より

…釈迦はリッチャビ族の国家が強力である理由として,団結と伝統尊重など7項目をあげたという。マガダ国のアジャータシャトル王は,策謀を用いてリッチャビ族の団結を内部から崩したのち,前5世紀初めにこの国を攻め滅ぼした。リッチャビ族はそれ以後もクシャトリヤ部族として残存したようである。…

※「アジャータシャトル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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