生没年不詳。ゴータマ・ブッダ(釈迦(しゃか))と同時代の仏教の異端者。原名デーバダッタDevadattaの音写語で、略して提婆(だいば)といい、また調達(じょうだつ)あるいは天授(てんじゅ)と訳す。ブッダの従兄弟(いとこ)または義兄弟といわれ、出家してブッダの弟子となったが、のちブッダに反逆し、仏教教団の分裂を図った。マガダ国のアジャータシャトル(阿闍世(あじゃせ))王子を唆し、父王を殺させて王位につかせ、自らはブッダを殺害しようとしたが失敗し、やがて悶死(もんし)したという。厳格な生活法を主張したらしく、提婆達多の教えに従う徒衆が後代にも存続したと伝える。
[藤田宏達 2016年12月12日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 釈迦の教勢が盛んになるにつれ,法敵も増えた。彼の従弟とされ,のちに彼に離反するデーバダッタDevadatta(提婆達多)からは狂象をけしかけられ,祇園精舎ではバラモンたちから女性と密通しているとの虚偽の告発がなされた。実際,釈迦の教えはバラモン教の階級制度や祭式至上主義を脅かすものであった。…
※「提婆達多」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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