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アタカマ砂漠 アタカマさばくDesierto de Atacama

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アタカマ砂漠
アタカマさばく
Desierto de Atacama

チリ北部の太平洋岸に連なる乾燥地帯ペルーとの国境付近から南へ,サラド川とコピアポ川の分水界付近まで約 1000kmにわたって延びる細長い地帯で,東はアンデス山脈によって限られる。西部は標高約 1500mの海岸山脈となっており,その西斜面は大部分急崖をなして太平洋にのぞみ,海岸平野はない。海岸山脈の東側に南北に連なる内陸凹地は標高 900m以上の高原地帯で,一連の塩原と扇状地から成り,扇状地の一部は砂丘の発達した砂砂漠となっているが,大部分は礫砂漠である。南アメリカ西岸,南緯5~30°に連なる乾燥地帯の一部で,世界で最も降水量の少い地域の一つとなっているが,これは,北東のアマゾン低地からの湿った空気がアンデス山脈によってさえぎられるとともに,冷たいペルー海流の影響で沿岸の海水の温度が低く,海面から上方にいくにつれて気温が高くなるという気温の逆転が生じるためである。この気温の逆転層内では大気はきわめて安定し,霧や雲は発生しやすいが,雨はほとんど降らない。気温も寒流の影響で同緯度の他地域に比べて低く,沿岸のアントファガスタで年平均気温約 17℃。鉱物資源に富む地域で,特にチリ硝石として知られる硝酸ナトリウムをめぐって,19世紀にチリ,ボリビア,ペルーが抗争を繰返したが,1879~84年の太平洋戦争の結果,ペルーとボリビアの一部がチリに編入され,アタカマ砂漠は全域チリ領となった。硝石資源は 19世紀後半以降組織的に開発され,世界市場を独占,沿岸のイキケ,トコピヤ,アントファガスタ,タルタルなどに積出港が建設され,これらの港と内陸部を結ぶ鉄道が敷設された。しかし第1次世界大戦中,空中窒素の固定技術が開発され,硝石に対する需要が急速に減少した結果,最盛時に年 300万tに上った産出量は 1960年代末には 78万tに減少。現在は硝石に代って銅鉱床の開発が中心で,アンデス西麓のチュキカマタで大規模に採掘されるほか,沿岸のパポソでも採掘され,チリの重要な産業となっている。ほかにわずかながら農業も行われ,内陸凹地北部のピカでレモン,ロア川沿岸の灌漑地帯でジャガイモ,アルファルファなどが栽培される。人口は近年減少しつつある。

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デジタル大辞泉の解説

アタカマ‐さばく【アタカマ砂漠】

Atacama》チリ北部の南北に長大な砂漠。銅・銀・チリ硝石を産出。

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百科事典マイペディアの解説

アタカマ砂漠【アタカマさばく】

チリ北部,アンデス山脈の前山と太平洋沿岸の低い山脈にはさまれる砂漠。南北約1000km,東西約30kmの長大な盆地状をなす。雨量がきわめて少なく,不毛で岩塩や石灰の堆積層でおおわれる所が多い。
→関連項目アントファガスタ

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世界大百科事典 第2版の解説

アタカマさばく【アタカマ砂漠 Desierto de Atacama】

南アメリカ西海岸,チリ北部の南緯19゜から30゜にかけて南北に長く広がる砂漠地帯のうち,北はロア川から南はチャニャラル周辺までをいう。ロア川の北はパンパ・デル・タマルガルの名で知られる。東はアンデス山脈の前山コルディジェラ・ドメイコ山脈等,西はいくつかの海岸山脈に囲まれ,標高約600mの構造盆地である。この砂漠の北部を南回帰線が通り,亜熱帯高圧帯にあたるうえ,フンボルト寒流の冷水の湧昇現象によって,ほとんど雨がなく,世界でも最も乾燥した地域の一つとされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アタカマ砂漠
あたかまさばく
Desierto de Atacama

南アメリカ、チリ北部にある南北約1200キロメートル、東西150~300キロメートルにわたる長大な砂漠。太平洋沿岸のチリ海岸山脈(高度2000メートル前後)とアンデス主脈の間を1000メートル前後の高度をもって南北に延びる山間盆地にあり、北はチリ、ペルー国境(南緯約18度)付近から、南はコピアポ(南緯約27度)付近にかけて広がる。北端部のアリカ市の北を流れるリュータ川以南の約1000キロメートルの間には、アンデス主脈に発しこの砂漠を横断して太平洋に達する川はロア川1本しかない。一年中低湿度で空気の澄んだ晴天が続く極端な寡雨地域であり、中心部には無植生の荒野が広がっている。しかし、その北半部のロア川以北の地域は、かつてミモザ科の低木タマルゴがまばらに生育していたことからタマルガル平原とよばれる。アタカマ砂漠の西に隣接する沿岸地方も砂漠であるが、低温の海水の影響を受けて霧や雲に覆われることが多く、また気温の日較差、年較差も小さいという特殊な西岸砂漠気候を示す。一部には霧の水分を吸って生育するロマ植生がみられる。アタカマ砂漠東方のアンデス山脈西斜面も砂漠であるが、高度2000メートル以上では低温でかつ夏期に若干の降雨があるため、短草がまばらに生育する。
 アタカマ砂漠における主要な生産活動は鉱産資源の採掘である。銀の産出は19世紀後半には世界産出量の7分の1に達していたが、現在ではその比重は小さい。チリの輸出総額の約35%(2003)を占める銅は、チリ中部とともにアタカマ砂漠地方で産出され、主要鉱山としてはチュキカマタ、エル・サルバドルがある。とくに前者は世界最大級の露天掘り銅山である。雨のない気候下で各種の可溶性塩分が析出し堆積(たいせき)物を固結して生成されたチリ硝石は、アタカマ砂漠の各所で採掘され、窒素肥料および火薬原料として大量に輸出されてきた。しかし空中窒素固定法の開発により、1920年をピークにその重要性は低下した。硝石の副産物であるヨードに関しては、現在でも世界需要の半分近くをここで賄っている。アタカマ砂漠最北部のタラパカ地方はかつてペルーに、その南のアントファガスタ地方はボリビアに属していたが、硝石をめぐって発生した太平洋戦争(硝石戦争)の結果、1883年以降チリの領土となった。[松本栄次]

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世界大百科事典内のアタカマ砂漠の言及

【チリ硝石】より

…チリに産するソーダ硝石NaNO3の鉱石。チリ北部のアタカマ砂漠地帯に長さ700km,幅15~80kmの範囲に多数のチリ硝石鉱床が分布する。鉱床は水溶性の塩類によって膠結された層状の砂質礫からなり,ソーダ硝石の平均品位は約25%,カリ硝石,岩塩,およびナトリウム,カルシウム,マグネシウムの硫酸塩を伴い,微量のヨウ素酸塩,ホウ酸塩,臭化物,およびリン酸塩を含む。…

※「アタカマ砂漠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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