メキシコ中央部よりアメリカ合衆国との国境にまで広がる高原。メキシコ中央高原とも呼ぶ。狭義にはこの高原の南部,サカテカス山脈,サン・ルイス山脈より南の部分を指す場合もある。西シエラ・マドレと東シエラ・マドレの両山脈にはさまれた地域で,南は新期火山帯に限られる。面積67万km2。平均高度は1700m。北部では約1200mであるが,南に向かうにつれて高度を増し,約2700mにも達する。高原には多くの湖沼があり,ここに流入する河川も多い。東・西のシエラ・マドレ山脈をところどころで切り,太平洋・大西洋に注ぐ河川もある。高原北部は雨の少ない半乾燥地で,一部では綿花の栽培や牧畜がおこなわれるが,人口密度は小さい。南部は雨量も多く,この国の主要な農業地帯で,人口密度が大きい。スペイン人の侵入以前,高原の南部には,テオティワカン,トルテカ,アステカなどの古代文化が栄えていた。
執筆者:田嶋 久
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メキシコ中部の高原。アナワクとは原地語の「湿った所」の意で、原義的にはメキシコ中央高原のなかのテスココ湖を中心とする豊水性地域、すなわちメキシコ盆地をさす。メキシコは乏水性でありながら、ポポカテペトル山など5000メートル級の山々の雪解け水によって、豊水性地域を形成した。アナワク高原はこの水の豊かな地域をいうが、アナワクの意味を解せず、メキシコ中央高原のサボテンの多い乾燥地域を含めて、アナワク高原という場合もある。ポポカテペトル山の伏流水は、南東のクワウトラ、マタモロスではプールに利用され、プエブラではダムにより農業用水として利用される。メキシコ市南部のソチミルコ湖もテスココ湖の名残(なごり)で、メキシコ市の建設に伴って、北部に排水路を設けてテスココ湖の縮小を図ってきた。現在は北東に縮小し、南のほうは空港に利用されている。
[高木秀樹]
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…この両山脈は南に向かうにつれて高度を増し,南部の太平洋岸で合して南シエラ・マドレとなって東西に走り,テワンテペク地峡を越えてグアテマラに至っている。東・西のシエラ・マドレと南シエラ・マドレに囲まれた地域は,標高1000~2000mの広大なアナワク高原(メキシコ中央高原)となっている。南シエラ・マドレの北側に,バルサス低地帯をはさんで,これと平行に東西に走るメキシコ新期火山帯があり,東・西のシエラ・マドレと重なって,ポポカテペトル,イスタクシワトル,オリサバなど,標高5000mを超える高い火山列をつくっている。…
※「アナワク高原」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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