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アノミー アノミーanomie

翻訳|anomie

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アノミー
anomie

もとは「神法の無視」「無規則性」を意味するギリシア語の anomiaが語源であるが,フランスの社会学者 É.デュルケムが,近代に移行する過程で,それまで人間の行為を規制してきた伝統的価値や,社会的規準の喪失に従って社会の秩序が崩壊したことを論じるのに使って復活した。彼は大家族,地域社会の解体や,ギルドの衰退を原因としてあげた。その後この言葉は多くの社会学者によって社会解体現象をさす概念として広く用いられてきた。社会の伝統的価値体系の崩壊によって生れるアナーキーな状態は社会的アノミーであり,このような環境から個人が不安,崩壊感覚,無力感を味わい,心理的アノミーが生れる。

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デジタル大辞泉の解説

アノミー(〈フランス〉anomie)

社会的規範が失われ、社会が乱れて無統制になった状態。ある社会の解体期に発生する。社会学者デュルケームが用い始めた語。
高度に技術化・都市化した社会で、親密感が欠けることによって起こる疎外感。

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百科事典マイペディアの解説

アノミー

〈無法律状態〉〈神法の無視〉を意味するギリシア語anomosに由来する概念。中世以来廃語になっていたものをデュルケームが社会学概念として定式化し,〈行為を規制する共通の価値や道徳的規準を失った混沌状態〉と定義した。
→関連項目アーバニズム自殺

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デジタル大辞泉プラスの解説

アノミー

日本のポピュラー音楽。歌はJ-POPグループ、amazarashi。2011年発売の同タイトルアルバム収録曲。作詞・作曲:秋田ひろむ。TBS系で放送のドラマ「ヘブンズ・フラワー Heaven's Flower」の主題歌。

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世界大百科事典 第2版の解説

アノミー【anomie】

社会規範の動揺や崩壊などによって生じる混沌状態,あるいはその結果である社会の成員の欲求や行為の無規制状態をいう。フランスの社会学者デュルケームによって用いられるようになった社会学上の概念。語源的には,〈無法律状態〉などを意味するギリシア語のanomosに由来するといわれるが,デュルケームが《社会分業論》(1893)および《自殺論》(1897)でこの概念を用いて以来注目され,今世紀の社会学者によって社会解体,価値の不統合,疎外などさまざまな現象を分析し記述する際にさかんに用いられるようになった。

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大辞林 第三版の解説

アノミー【anomie】

個人または集団相互の関係を規制していた社会的規範が弛緩または崩壊したときに生ずる混沌状態。デュルケームが概念化した語。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アノミー
あのみー
anomieフランス語

社会的規範の動揺、弛緩(しかん)、崩壊などによって生じる混沌(こんとん)状態、あるいは成員の欲求や行為の無規制状態。語源的には、「無法律状態」などを意味するギリシア語のνομοに由来するといわれる。中世には廃語になっていたが、フランスの哲学者ギュイヨーによって用いられ、さらに社会学者デュルケームによって社会学上の用語として再生された。彼は、『社会分業論』(1893)では分業の異常を、『自殺論』(1897)では近代社会に特有の自殺の型をそれぞれ記述するのにこの概念を用いている。以後、20世紀の社会学者や社会心理学者の注目するところとなり、社会解体、価値の不統合、疎外などさまざまな現象を分析し、記述する際にしばしば依拠される概念となっている。
 デュルケームによれば、社会的分業が正常に進めば、社会の諸機能の相互依存関係が強まり、有機的な連帯が形成されると考えられているが、現実の近代西欧社会では、無規制的な産業化のために諸機能の相互依存よりも不統合が、有機的連帯よりも弱肉強食の対立・抗争が、むしろ支配的になっている。『社会分業論』では、このような状態がアノミーとして記述されている。他方またアノミーは、個々の人間の行為や意識のレベルに現象してくる病理でもある。デュルケームは『自殺論』においては、急速な産業化による価値規範体系の攪乱(かくらん)が個々人の欲求の無規制を引き起こすという現象に目を向け、これを自殺の発生の社会的条件の一つとして重視した。この型の自殺はアノミー的自殺と名づけられている。
 このアノミーの概念は、20世紀社会における資本主義の矛盾の顕在化、ファシズム化、大衆社会化などの経験が積み重ねられるなかで、その重要性が再認識され、意味も拡大されるようになった。S・デ・グレージアは、一つの社会において信念体系の陥っている危機状況のタイプに応じて、2種のアノミーを区別している。すなわち、複数の信念体系が単に対立・葛藤(かっとう)の状態にある場合を単純アノミーsimple anomie、支配的な信念体系が一挙に崩壊することによって生じる指導原理の全般的な喪失を尖鋭(せんえい)アノミーacute anomieと名づけ、それぞれの政治社会学的な意味合いに注目した。
 またアメリカのR・K・マートンは、一つの社会における文化的目標と制度的手段の不統合によって生じる行動規範の衰耗(すいこう)をアノミーと規定し、そのような場合、成員の間に逸脱行動が生じやすいとした。たとえば、現代アメリカ社会では、文化的目標として「金銭的成功」という価値が称揚される反面、制度的手段の遵守が同じようには強調されず、その結果しばしば逸脱行動が生じており、とくに下層中産階級にはこの逸脱行動を促す圧力が働いているとされる。マートンのこの考察は、現代社会の文化・制度状況とかかわらせて逸脱行動の類型論を導いているという点で、アノミー論に新たな視野を切り開いている。そのほかマッキーバー、リースマン、スロール、デュビニヨーら、アノミー概念の独自の展開を試みている社会学者は少なくない。
 なお近年では、急速な産業化のなかに置かれている開発途上社会における価値の葛藤などを分析、記述する概念としても、アノミー概念の有効性が認められている。[宮島 喬]
『E・デュルケーム著、宮島喬訳『自殺論』(『世界の名著 47』1968・中央公論社・所収) ▽R・K・マートン著、森東吾他訳『社会理論と社会構造』(1961・みすず書房) ▽S・デ・グレージア著、佐藤智雄・池田昭訳『疎外と連帯』(1966・勁草書房)』

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世界大百科事典内のアノミーの言及

【社会分業論】より

…このように分業の発達と社会的連帯の型の変遷との関連を考察したところに,本書の意義がある。しかしデュルケームは現実の西欧社会のなかに〈無規制的分業〉という異常形態をも看取しており,アノミー(無規制)問題の発見を本書の意義の第一にあげる見解もある。【宮島 喬】。…

※「アノミー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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