日本大百科全書(ニッポニカ) 「リースマン」の意味・わかりやすい解説
リースマン
りーすまん
David Riesman
(1909―2002)
アメリカの社会学者。フィラデルフィア生まれ。ハーバード大学卒業後、会社員、教師、地方検事補、弁護士の職を経てシカゴ大学社会科学部教授(1949~1958)、ハーバード大学教授(1958~1981)に就任した。その後同大学ヘンリー・フォード2世社会科学講座名誉教授。アメリカ社会学会理事(1956~1957)、アメリカ研究協会理事(1953~1960)を歴任。アメリカン・アカデミー賞受賞(1954)。彼の名を一躍有名にしたのは、代表作『孤独な群衆』(1950)であり、そのなかで「伝統指向型」「内部指向型」「他人指向型」という三つの人間類型を設定し、第二次世界大戦後の受動化したアメリカ中間層の社会的性格を「他人指向型」と類型化した。また人間類型の設定を深化させるため、『群衆の顔』(1952)で実証的に調査研究をも行った。さらに、アメリカの資本主義に関するT・B・ベブレンの制度的研究を批判し、新しい個人主義を主張した(『ソースタイン・ベブレン』1953)。彼の個人主義論、パーソナリティ論、現代社会論、教育論、余暇論、大衆文化論に関する洞察は、独創性に満ちている。ほかに『個人主義の再検討』(1954)、『何のための豊かさ』(1964)、『ハーバードの教育と政治』(1975、S・M・リプセットとの共著)、『高等教育論』(1980)、『二十世紀と私』(1982)などの著書がある。2002年5月10日ニューヨーク州ビンガムトンで死去した。
[高島昌二]
『リースマン著、新堀通也他訳『大学教育論――教育社会学への試み』(1961・みすず書房)』▽『加藤秀俊訳『孤独な群衆』(1964・みすず書房)』▽『加藤秀俊訳『何のための豊かさ』(1968・みすず書房)』▽『國弘正雄・久能昭訳『群衆の顔――個人における性格と政治の研究』(1968・サイマル出版会)』▽『デイヴィッド・リースマン著、松本重治編、斎藤真他訳『現代文明論』(1969・みすず書房)』▽『D・リースマン、I・リースマン著、加藤秀俊・鶴見良行訳『日本日記』(1969・みすず書房)』▽『牧野宏他訳『個人主義の再検討』上下(1970~1974・ぺりかん社)』▽『D・リースマン、J・ガスフィールド、Z・ガムソン著、荒木泰子訳『大学の実験――学問とマス教育』(1973・みすず書房)』▽『喜多村和之他訳『高等教育論――学生消費者主義時代の大学』(1986・玉川大学出版部)』▽『永井陽之助訳『二十世紀と私』(中公新書)』▽『David RiesmanThorstein Veblen : A Critical Interpretation(1953, Charles Scribner, New York)』