ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギュイヨー」の意味・わかりやすい解説
ギュイヨー
Guyau, Jean Marie
[没]1888.3.31. マントン
フランスの道徳宗教哲学者,美学者。生の哲学を代表する一人。 19歳で道徳政治科学アカデミー賞を受賞し,翌年コンドルセ高校で哲学を講じた。胸を病み 33歳で夭折したが,道徳,芸術,宗教,教育の分野に重要な著作を残した。主著『義務も制裁もなき道徳』 Esquisse d'une morale sans obligation ni sanction (1885) で彼は,進化論の批判に立脚して創造的で利他的な生の力を道徳の原理とし,義父 A.フイエの観念力の思想を発展させた。『社会学の立場より見た芸術』L'Art au point de vue sociologique (89) では美を生の力の表現とみ,芸術によってわれわれは普遍的生にあずかるとして,生の拡張の場である社会のなかで芸術を考察すべきことを主張して美学史上新境地を開いた。彼の道徳論,宗教論はニーチェに影響を与え,『時間論』 La genèse de l'idée de temps (90) はベルグソンに先駆した。また詩人として"Vers d'un philosophe" (81) を残している。他の著作"L'irréligion de l'avenir" (87) ,"Education et hérédité" (89) 。
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