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フランスの哲学者。のちに義父となるA・フイエに学ぶ。19歳のときエピクロスおよび功利主義道徳の研究によってフランス・アカデミーより賞を受けた早熟の天才。しかし肺結核のため夭折(ようせつ)した。進化論的世界観の立場にたち、進化の根本的原動力として生を考えた。生はそれ自体が原因かつ目的であり、自由に発展し、拡大していく。生の進化は各個人の連帯性の進化であり、これは同時に道徳、宗教、芸術に共通の原理である。たとえば道徳においては、義務からの道徳であるカント的道徳は、生命の溌剌(はつらつ)たる展開、発展を阻害するとみなし、かわりに義務なき道徳を提唱した。彼の生中心の考えは、後の「生の哲学」にも影響を及ぼしている。著書に『義務も制裁もなき道徳の素描』(1885)、『将来の無宗教』(1887)、『社会学的見地よりみた道徳』(1889)などがある。
[足立和浩 2015年5月19日]
フランスの道徳哲学者。《義務も制裁もなき道徳》(1885)を主著とする。生物進化の動因たる生は本質的に自己を外部へと拡大させてゆくものであり,そのさい利他性にもとづいて社会的な連帯が意識されるようになるという。同じ見地から美も生の表出であり,芸術の目的は人々を広い生活に参入させることにあるとして《社会学上より見たる芸術》(1889)では芸術と社会の緊密な相関を論じた。
執筆者:細井 雄介
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