改訂新版 世界大百科事典 「アフリカゾウ」の意味・わかりやすい解説
アフリカゾウ
African elephant
Loxodonta africana
長鼻目ゾウ科の哺乳類。地上生動物としては最大。肩高3~4m,体重5~7.5tに達する。インド(アジア)ゾウと異なり,雌雄ともに牙がよく発達している。アフリカ中部,東部および南部のサバンナ,渓谷,低木林,森林などに生息する。特徴的な長い鼻の先端部には指のような上下二つの突出部があり,食物など比較的細かなものを巧みに操作できる。また,インドゾウに比べはるかに大きな耳介は,体温調節のための放熱器の役割も果たしている。年をとった雌に率いられるさまざまな年齢の雌と若雄10~20頭からなる群れで生活する。群れは相互扶助的で,傷ついたゾウや母親を失った幼いゾウをよく守る。雄は単独または小群で過ごす。夜間横になって2~3時間眠るのと,日中木陰で短時間休息する以外は,ほとんどの時間食物を求めて移動する。食事の際には鼻で枝を折り,草を引き抜き,果実をもいで,それらを口に運ぶ。水浴,泥浴を好む。鼻で吸い込み,口に注ぐ方法で多量の水を飲む。50年から70年の生存期間中,雌は4~5回,1産1子を生む。群れは子が群れとともに歩けるようになるまで(ふつう2日間)待っている。人を除くと天敵はほとんどいない。
→ゾウ
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報