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アブ アブ Tabanidae; horse-fly

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アブ
アブ
Tabanidae; horse-fly

双翅目アブ科に属する昆虫の総称。体長8~30mm。体は短太。吸血昆虫として有名で,一般にもよく知られているが,おもに牛馬などの家畜や野生動物を吸血する。吸血するのは雌だけで,雄は樹液や花蜜を吸う。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アブ
あぶ / 虻
horse fliesbremsen

昆虫綱双翅(そうし)目短角亜目アブ科Tabanidaeの総称。体長7~30ミリメートルで、体は扁平(へんぺい)で頑丈である。はねはしっかりした翅脈に支えられ、透明であるが、ときに暗褐色の斑紋(はんもん)をもつ。複眼は頭部の大部分を占め、生体では美しい色彩を放つ。日本には100種近く産し、世界で約1600種が記録される。マルガタアブStenomyia yezoensis、ムカシアブNagatomyia mecaniea、ヒメアブSilvius dorsalisなど原始的な種類は吸血しないが、キンメアブChrysops suavis、ウシアブTabanus trigonus、ゴマフアブHaematopota tristisなどの雌成虫は吸血性である。とくに牛馬などの家畜を襲撃し、人もよく吸血される。吸血から得られた栄養はおもに2回目以後の産卵に利用される。[倉橋 弘]

生態

成虫は動物の呼気中の二酸化炭素に誘引され、動物に近づくと体温を感じて興奮し、口器で皮膚を切り刺し、流れ出る血液をなめる。また、自動車の排気ガスに誘引されて車中に飛び込んだり、温泉地周辺に多く集まり、野天風呂で入浴中の人を刺したりする。卵は水辺や湿地の木の下や葉の裏面などに固めて産み付けられる。幼虫は紡錘形のうじで、尾端に呼吸管をもち、水中では水面にこれを出して呼吸する。白色の幼虫が多いが、イヨシロオビアブTabanus iyoensisのように暗色で白斑をもつものもある。湿地に生息し、水田、腐木、蘇苔(せんたい)類の下などにみられ、ほかの昆虫やミミズなどの小動物や腐植質を食べる。蛹(さなぎ)の期間は1~2週間で1~2年で成虫となる。イヨシロオビアブは頻繁に人を攻撃して刺す。とくに北陸地方(富山県、石川県)、東北地方(とくに山形県)では被害が大きい。北陸地方ではオロロとかオルリとよんで、夏の山間部での農作業時の嫌われものである。長さ10キロメートルの谷で、400万匹ものイヨシロオビアブが発生する地域がある。アブの刺咬(しこう)による腫脹(しゅちょう)と疼痛(とうつう)の症状は、人によっては数週間も続くことがあるが、この原因は、唾液(だえき)に含まれる特殊なタンパク質が有毒成分であることがわかっている。幼虫による刺咬症は水田での農作業中に足を刺されておこる。幼虫は各地方でチックリムシ、タバチ、ヤマオコゼ、ハリムシなどとよばれて嫌われている。また、田植の忙しい時期に、水に浮かんでいて人の足を突っついたりするので、ナマケムシ、オウチャクムシなどとよぶ地方もある。アフリカ産のキンメアブ4種Chrysops silaceusC. dimidiatusC. centurionisC. langiによって媒介されるロア糸状虫症や、また、アメリカ産C. discalisによって媒介される野兎(やと)病、熱帯地方の家畜の悪性貧血病など、アブによって伝播(でんぱ)される病気がある。[倉橋 弘]

分類

一般に「アブ」とは、双翅目の種類のうち、体が繊細な「カ」に対して頑丈な種類で、しかも「ハエ」のように動作が敏捷(びんしょう)でない種類をさす呼び名である。したがって、分類学的にはアブ科のほかに短角亜目のキアブ科Xylophagidae、ミズアブ科Stratiomyidae、クサアブ科Coenomyiidae、キアブモドキ科Solvidae、シギアブ科Rhagionidae、ナガレシギアブ科Athericidae、ツルギアブ科Therevidae、マドバエ科Scenopinidae、ムシヒキアブ科Asilidae、ツリアブ科Bombyliidae、ツリアブモドキ科Nemestrinidae、コガシラアブ科Acroceridae、環縫(かんぽう)亜目のアタマアブ科(アタマバエ科)Pipunculidae、ハナアブ科(アブバエ科)Syrphidaeなど広義のアブに含まれる。[倉橋 弘]

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