改訂新版 世界大百科事典 「アラス」の意味・わかりやすい解説
アラス
Arras
フランス北部,パ・ド・カレー県の県都。人口4万3000(1990)。19世紀の産業革命の影響はほとんど受けなかったが,第2次大戦後に著しい発展を示し,1945年以降の人口増加率は県内最大であった。第3次産業が卓越し,全就業人口の60%が従事する。住民の平均所得水準は高く,ノール地方全体の平均の1.5倍である。古代ローマ時代にすでにアルテバット族の主都として,またラシャ生産地として栄えていた。中世においては,イギリスとシャンパーニュおよびイタリアをつなぐ街道沿いの立地条件を生かし,イギリス産羊毛を加工するラシャ製造が再興された。14世紀以降タピスリーにかわったが,近代工業への転換は遅れている。近年は冶金業,既製服製造,食品工業も起こっている。
執筆者:鈴木 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報