日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガロ」の意味・わかりやすい解説
ガロ
がろ
Garo
インド、アッサム地方を流れるブラマプトラ川の湾曲部南東にあるガロ山地を主要な居住地とする人々。モンゴロイド人種であり、チベット・ビルマ語系のボド語群に属す言語を話す。彼らの伝承によれば、アッサム河谷を経由して、チベット方面から移動してきたという。名称のガロは英国人がこの地域の山地民全般をガロウとよんだことに由来する。自称はマンデ、アチック。人口は約30万。焼畑耕作に従事し、陸稲(おかぼ)や雑穀類、マニオク、タロイモなどをつくる。集落は山の斜面や丘陵部に形成され、一般に50~60戸の家屋からなる。外婚的な母系氏族が重要な単位であり、血縁は母系をたどり、家族の財産を相続するのは娘である。特別な身分階層はないが、一定の祭宴儀礼を経て、特定の社会的地位を得たものをノクマとよび、社会生活における主導的な役割を果たしていた。宗教はアニミズムを基本とし、木や石の彫像で表される祖先を礼拝するが、キリスト教も受容されている。
[長谷川清]