アラタ体(読み)あらたたい

日本大百科全書(ニッポニカ)「アラタ体」の解説

アラタ体
あらたたい

昆虫(無翅(むし)類を除く)の脳後部に終生みられる微小な内分泌器官。原名corpora allata(複数)は「運ばれてきた小体」の意。これは、胚(はい)期にあご付近の外胚葉から陥入した1対の細胞塊が脳後部へ移動し、側心体とよばれる(せん)性小神経節を介して脳につながることに由来する。昆虫により、その形状、脳後部でのあり方、あるいはその構成細胞の数、形態などはさまざまに異なっている。一般には小球状のアラタ体が食道背面を走る動脈の左右に振り分けられている。脳の関与のもとにアラタ体ホルモンを分泌し、昆虫の成長、卵成熟、体色調節などいろいろな機能の調節に働く。

[竹内重夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「アラタ体」の解説

アラタ体
アラタたい
corpus allatum

昆虫に広くみられる内分泌腺。ここから出るアラタ体ホルモンは幼虫期に変態抑制前胸腺ホルモンとの協働作用で脱皮促進,成虫期では一般に卵成熟と関係する。発生的には大顎節と小顎節の境界部外胚葉が陥入移動したもので,側心体の後方に位置し,側心体とともに脳後方内分泌腺群を構成する。シミなどの無翅亜綱を除いて全昆虫にあるが,形状は一定せず,種によって,左右1対の中実球状のもの,癒合による不対のもの,胞状のもの,環状腺として存在するものなどがある。

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百科事典マイペディア「アラタ体」の解説

アラタ体【アラタたい】

大部分の昆虫に見られる内分泌腺。脳の後方,大動脈の両側に1対あり,球状。3種の幼若ホルモンを分泌する。このホルモンは前胸腺から分泌されるホルモン(エクジソン)と共同して幼虫期の脱皮をひき起こし,またゴキブリなどの成虫では,生殖腺の成熟に関与している。
→関連項目変態ホルモン

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精選版 日本国語大辞典「アラタ体」の解説

アラタ‐たい【アラタ体】

〘名〙 (corpora allata の訳語) 昆虫の脳後方にある内分泌腺の一つ。アラタ体ホルモン(幼若ホルモン)を分泌し、前胸腺ホルモンとの相互作用で、幼虫形質の保存や脱皮などに関係する。ハサミコムシ類を除いた無翅(むし)類の昆虫には存在しない。

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世界大百科事典 第2版「アラタ体」の解説

アラタたい【アラタ体】

昆虫の脳のうしろに続いている1対のほぼ球形をした腺性内分泌器官で,ハサミトビムシ類を除く無翅(むし)昆虫にはない。種によっては癒着合一したものや側心体,前胸腺相同器官と対合して一つの器官を形成するなどの諸形態がある。側心体を含めて脳後方内分泌腺群(あるいは内分泌系)と総称される。アラタ体を初めて記載したのはリヨンP.Lyonet(1762)で,その後corpora incertaとよばれたこともあったが,現在はヘイモンスR.Heymonsによるcorpus allatum名称が用いられている。

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