改訂新版 世界大百科事典 「アルトゥジウス」の意味・わかりやすい解説
アルトゥジウス
Johannes Althusius
生没年:1557-1638
ドイツの法律家。北部ドイツの人。公的活動面ではヘルボルン大学の法律学の教授を数年,エムデン市の市法律顧問を三十数年つとめたが,研究・著述面では,とりわけ政治学ないし国家論の体系の構築につとめた。代表的著書《政治学Politica methodice digesta et exemplis sacris et profanis illustrati》(1603)は,カルバンの神学に立脚した自然法論,当時のドイツの身分制議会をふまえた代表の理論,当時のフランスのJ.ボーダンが君主に認めた主権を国民全体に帰属させる国民主権論によって特徴づけられている。彼が構想した国家は,個人ではなく部分社会を単位として下から上へと有機的に編制された社会的全体である。社会的全体に帰属する主権は部分社会の代表を介して君主に委託され,君主によって部分社会代表の監視と統制のもとに行使され,共同生活における神の命令の実現という委託の趣旨に反する主権行使に対しては代表による抵抗権も認められるとする。
執筆者:栗城 壽夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報