アンダーライター(読み)あんだーらいたー(その他表記)underwriter

翻訳|underwriter

デジタル大辞泉 「アンダーライター」の意味・読み・例文・類語

アンダーライター(underwriter)

国や株式会社などが有価証券発行する際、自己危険負担もとにその全部または一部を売り出しの目的をもって取得することを業とする金融商品取引業者など。証券引受業者

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンダーライター」の意味・わかりやすい解説

アンダーライター
あんだーらいたー
underwriter

証券会社の中核をなす業務を行う証券引受人のこと。ドイツを中心とする大陸系の金融制度では、銀行業務と証券業務が分離されず、「ユニバーサル銀行」とよばれるように、銀行も証券引受業務ができた。しかし、日本やアメリカでは銀行と証券業務とを分離する制度であったため、アンダーライター業務は、銀行と区別する証券業の固有な業務と理解されてきた。しかし最近の金融業と証券業との相互参入を可能としたいわゆる金融ビッグバンをはじめとする金融の国際化の流れのなかでは、取引形態による分離は必要であるものの、業態として、銀行と証券とを分離する意味はなくなっている。

 証券引受業務は、公的な証券の引受業務と、民間証券(株式や社債)発行に関する引受業務とに区別できる。前者はリスクの程度が低いため、民間証券の発行業務に注目が集まっている。企業の資金調達において証券発行に伴うリスクの分担に視点を置くと、証券発行は直接発行と間接発行とに分けられる。アンダーライターが行うのは、証券業者自身がリスクを負担して証券発行を引き受ける間接発行である。それはさらに、発行証券の全額を買い取る「買取引受」の方法と、手数料を徴収して証券の発行を引き受け、売れ残りの部分のみ証券会社が責任をもつ「保証引受」という方法とがある。

 証券業者は本来、証券の自己売買、委託売買、募集売出し、それに引受売出しの業務を行うものであり、引受業務を執行するには、証券の発行価格や発行の総額などの決定に関する専門的な知識、技能、それに資金力と市場での信用力などが求められるが、最近では、デリバティブ金融派生商品)業務など有価証券の範囲の拡大化とともに、引受業務も証券業者の普通の業務になっている。ビッグバン進行とともに証券業は免許制から登録制へ移行しているので、この傾向はさらに強まっている。

[石野 典・前田拓生]

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百科事典マイペディア 「アンダーライター」の意味・わかりやすい解説

アンダーライター

(1)証券引受業者。有価証券の発行に際し,発行者から発行証券の全額または一部を取得し,これを売り出す者。発行者の長期資金調達を成功させるため,自己の危険負担により証券発行を代行する。戦後の日本では証券取引法により,公債は別として,社債・株式の引受は証券会社に限られている。(2)英米の保険業界で契約引受の可否,条件の決定などの全権を与えられている個人や法人。海上保険の取引から17世紀末にロンドンのロイズコーヒー店に創設されたロイズの個人引受業者が著名。
→関連項目証券市場

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世界大百科事典(旧版)内のアンダーライターの言及

【証券業】より

…1号免許),(2)有価証券の売買の媒介,取次ぎおよび代理,ならびに有価証券市場における売買取引の委託の媒介,取次ぎおよび代理を行う業務(ブローカー業務。2号免許),(3)有価証券の引受けおよび売出しを行う業務(アンダーライター業務。3号免許),(4)有価証券の募集および売出しの取扱いを行う業務(セリング業務またはディストリビューター業務。…

【ロイズ】より

… シンジケートを構成する会員は,法律上保険契約の当事者であり,その損益の負担者であるが,実際の保険引受業務には携わらないので,通称ネームnameと呼ばれている。一方,引受代理店は,シンジケートのためにアンダーライターunderwriter(保険引受けの専門家)を雇用して,実際の保険の引受けを行わせる。アンダーライターは構成会員から業務執行に関していっさい命令や束縛を受けず,自分の判断だけで引受けを行うので,シンジケートの運命はもっぱら彼の能力にかかっているといえる。…

※「アンダーライター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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